が、概して和食には日本酒が合う。ワインを合わせることは不可能ではないが、どこか無理やり感がある。だから、ぼくは基本的にはすし屋でワインは飲まない。もっとも、例外として京都にワインに合わせたすしを食べさせる店がある。そこでは特殊な煮切りでワインに合うすしを作っていて、親方もソムリエだ。よいワインもたくさん置いてある。だから、ぼくはここではすしにワインを合わせる。けれど、これは極めて例外的な存在だ。


 
 あと、ワインを飲むときはたばこは絶対に吸わないほうがよい。もともとワインの香りの表現に「たばこ」とか「葉巻」の香りと表現することがある。スパイシーなシラー(シラーズ)やカベルネ・ソービニヨンに巻きたばこや葉巻の香りを感じ取ることがあるからだ。

 多くの人にとって、たばこのにおいは悪臭だ。しかし、たばこのにおいが好きだという人だっている。蓼(たで)食う虫も好き好きなのだ。例えば、ワインから感じ取られる「たばこの香り」は非常によい香りだとぼくは思う。テイスティングの教本にも「たばこの香り」というのはキーワードに入っている。まあ、香りや味の好みは主観なので個人差はある。
  
 ぼくはキューバなどで作った葉巻の香りはよい香りだと感じる。年に一度くらいはなにかのご褒美に葉巻をいただくことがある。しかし、たばこのにおいがすごい苦手、葉巻のにおいも耐えられない、という人もいるはずだ。そういえば、ワインの香りは素晴らしいと言ったけど「酒臭い」という言葉は一般に悪い意味で使う。
 
■喫煙しながらのワインは味覚を激減させる
 
 ぼくは子どものとき、たばこのにおいがすごく苦手だった。父親(当時喫煙者)が車を運転していると車内のたばこ臭ですぐに吐き気を覚えて、よく吐いてた。車酔いにも弱かったのだ。たばこのにおいと車酔いのダブルパンチだったのだ。まあ、ぼくの嘔吐物の臭いに家族も苦しんだだろうから、お互い様だったのかもしれないけど(笑)。

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年齢を重ねれば好みも変わる