写真はイメージです (Getty Images)
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実際にどんな漢方薬が処方されている? (週刊朝日2019年4月5日号より)
実際にどんな漢方薬が処方されている? (週刊朝日2019年4月5日号より)

「今かかっている病院で突然、漢方薬を処方されて驚いた」。そんな経験はないだろうか。近年、漢方薬は、漢方専門外来だけでなく、通常の診療の中で処方されるケースが増えているようだ。『家族ではじめる本格漢方2019』(週刊朝日MOOK)では、さまざまな漢方を紹介。どんな症状で処方されることが多いのか、取材した。

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 東京都在住の高橋圭一さん(仮名・69歳)は、1年ほど前から夜間の頻尿に悩まされるようになった。毎晩2~3回、トイレに起き、しばらく寝つけなくなる。病院の泌尿器科で腎機能や前立腺などの検査をしたものの、異常は見つからず、夜は水分をとらないようにしたり、膀胱の収縮を抑える薬を飲んでも効果がなかった。

 熟睡できず、いつもトイレのことばかり考えてイライラしていた高橋さんを救ったのが「八味地黄丸(はちみじおうがん)」という漢方薬だ。医師が「加齢による夜間頻尿に効果があるから」と処方してくれたという。

「病院で漢方薬を使うとは思っていなくて『漢方なんて効くのか?』と半信半疑でした。ところが1週間後には夜間のトイレが1回に減り、今はトイレに起きない夜もあって、ぐっすり眠れています」(高橋さん)

 病院で処方されるのは西洋薬だけと考えられがちだが、「医療用漢方製剤」と呼ばれる漢方薬も処方されている。現在、保険収載されているのは149品目。西洋薬同様、患者の自己負担は1~3割で済む。

 愛誠病院上野クリニック・漢方センター長の新見正則医師はこう話す。

「漢方の専門外来を設けている病院もありますが、多くは通常の診療の中で、西洋医学を学んだ医師が漢方薬を処方しています」

 近年、病院で漢方薬を処方するケースが増えているという。

「高齢化などで、西洋医学だけでは対応できないことが増え、漢方の役割は大きくなっています。製薬メーカーの情報発信や医学教育などで医師が漢方の有用性を認識するようになったことに加えて、患者側の関心が高まっていることも理由でしょう」(新見医師)

 新見医師が運営している漢方の情報サイト(漢方.jp)に寄せられる読者からの質問も、病院の漢方に関するものが多いという。

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