横浜の東京ガスのショールームにある、30年ほど前の住まい(左)と、最新の住まいを比較して体験できる「くらべるハウス」(東京ガス提供)
横浜の東京ガスのショールームにある、30年ほど前の住まい(左)と、最新の住まいを比較して体験できる「くらべるハウス」(東京ガス提供)
(お金と健康の)元を取るリフォーム一覧表 (週刊朝日2019年4月5日号より)
(お金と健康の)元を取るリフォーム一覧表 (週刊朝日2019年4月5日号より)

 2019年10月に消費税率が10%になる前の駆け込み需要のひとつに、「リフォーム」がある。古い家を省エネ目的にリフォームすれば、ランニングコストがかなり抑えられ、「元が取れる」場合も。「冬寒くて、夏暑いので光熱費が高い」と悩める人は、ぜひこの機会に考えてみませんか?

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 横浜の東京ガスのショールームには、30年ほど前の住まいと、最新の住まいを比較して体験できる「くらべるハウス」というスペースがある。

 試しに入ってみると、最新の部屋は床暖房で足元は温かく、座っていても立っていても、温度の違いがない。一方、昔の住まいはとにかく寒い。これが当時のスタンダードだったのかと、驚かずにはいられなかった。リフォームのメリットは、ランニングコスト以上に「健康」がある。

 世界保健機関は住宅と健康に関するガイドラインの中で、健康維持のためには、室内の温度を18度以上にするように、と推奨している。寒い家に暮らしていると、脳の老化が進み、認知症が加速しやすいという研究データもある。居室(リビングや寝室)と非居室(廊下など)の間の温度差は、急激な血圧変動や心臓血管疾患のリスクが高くなる。まだまだ寒い日もある。浴室が寒い家は入浴時の血圧上昇に気を付けよう。さらに、室内を断熱すると、アレルギーの発生を抑制する効果もある。断熱性能や気密性能が低い家は、当然結露しやすく、カビやダニも発生する。断熱改修をすることで、アレルギーや感染症の予防にもなる。

 三井不動産リフォームがリノベーションを手掛けたモデルルームに足を運んだ。築33年の東京・代々木にある鉄骨鉄筋コンクリートのマンションだ。建築中の新国立競技場を見下ろし、JRの線路もすぐそばに走っているものの、窓には、既存のサッシの内側にもう一つ、インナーサッシを付けたり、ガラス窓を複層ガラスサッシに交換。外の騒音が室内まで届かない。断熱性能も高まる。光と風が全室にいきわたるように設計され、窓際の一角につくられたサンルームは日がさんさんとあたり気持ちがよさそうだ。真夏でも、敷かれた保水ブロックに打ち水をすれば温度上昇も抑えられる。遮熱カーテンで日差しを調節する。さらに住まい全体で日々どれだけガスや電気を使っているのか「見える化」するために、室内の壁にエネルギーモニターを取り付け、省エネ意識も高められる。玄関ホールにもうひとつ、「セカンドドア」を付け、冷気が居室内に入るのを防ぐのも秘策だ。これだけの大掛かりなリフォームで約1千万円(オプション別途)。

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