津田大介「世界中のネットが『中国化』する日」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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津田大介「世界中のネットが『中国化』する日」

連載「ウェブの見方 紙の味方」

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津田大介週刊朝日#津田大介
津田大介(つだ・だいすけ)/1973年生まれ。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ウェブ上の政治メディア「ポリタス」編集長。ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる。主な著書に『情報戦争を生き抜く』(朝日新書)

津田大介(つだ・だいすけ)/1973年生まれ。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ウェブ上の政治メディア「ポリタス」編集長。ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる。主な著書に『情報戦争を生き抜く』(朝日新書)

握手するロシアのプーチン大統領(左)と中国の習近平国家主席。ロシアと中国はインターネットの情報統制を強めている (c)朝日新聞社

握手するロシアのプーチン大統領(左)と中国の習近平国家主席。ロシアと中国はインターネットの情報統制を強めている (c)朝日新聞社

 ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られるジャーナリストでメディア・アクティビストの津田大介氏。ロシア、中国がインターネット規制を進める背景を説明する。

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 3月10日、モスクワをはじめとするロシアの各都市で、政府によるインターネット規制に反対する大規模なデモが行われた。参加者は口々に「ネットに手を出すな」「ネットを孤立させるな」と声を上げた。国際NGO「ホワイトカウンター」によると約1万5300人(警察発表では6500人)がモスクワで参加し、ここ数年で最大規模のデモとなった。

 彼らが反対するのは、昨年12月に与党「統一ロシア」が提出した「インターネット主権法案」だ。この法案は、ロシア国内のインターネット「ルネット(Runet)」が国内の通信インフラのみで運用できるだけの独立性を保障することを求めている。ロシア政府は、米国による制裁措置の可能性を念頭に、同国のサイバーセキュリティーを強化し、外国からの内政干渉を防ぐために必要な法案だと説明している。

 法案が成立すれば、通信事業者は、規制当局が管轄する相互接続点をネットの通信経路として選び、国内ユーザー間の通信の国外移送を最小化しなければならない。さらに、データの送受信者を特定する技術的手段の導入や、政府がアクセスを禁止するウェブサイトへの接続遮断の強化なども盛り込まれている。自国のネットの独立性を高めるだけでなく、情報流通の監視や統制強化を狙っているのは明白だ。

 反対派はまさにこの点を批判。この法案によって「インターネット版鉄のカーテン」が作られ、監視や検閲により政権批判や反政府活動が封じ込められることへの懸念をあらわにしている。ロシアは既に報道の自由を大幅に制限しており、ネットは政権の腐敗を批判できる数少ない場なのだ。

 こうした動きを見せているのはロシアだけではない。中国もまた「サイバー主権」という言葉を掲げ、国家は国内の情報流通を管理する主権を有するという立場をとっている。実際、中国は既に独自のインターネットを構築し、「金盾」と呼ばれる強力なネットの監視・検閲システムを完成させている。


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