水虫は足の指の間だけにできると思っていませんか? そんなことはありません。踵(かかと)にもできますし体のすべてにうつります。体に繁殖した水虫を「ぜにたむし(体部白癬)」と呼びます。水虫に感染した足をボリボリとかき、その手で股を触れば感染し「いんきんたむし」になります。頭に生える白癬菌もいます。柔道や格闘技などをしている人たちに感染する特殊な白癬菌の一種「トリコフィトン・トンズランス」が原因です。

 水虫はいつの間にか感染してしまうことが多い皮膚疾患です。よく見かける感染は、お風呂の足拭きマットを介したものです。家族の誰かが水虫で、湿った足拭きマットを共用で使い続ければほかの家族にもうつります。

 あわせて、温泉、プール、ゴルフ場のシャワールームなど、大勢の人が使う足拭きマットにも白癬菌が繁殖している可能性があります。心配であれば帰宅後にもう一度足を洗い、きちんと乾燥させることが大事です。

 足にできるのは水虫だけではありません。湿疹もできます。市販薬でかぶれるケースもみかけます。もともとは足の湿疹だったのが、自己判断で水虫と思い込み市販の水虫の薬を塗ってかぶれてしまう場合もあります。

 水虫と間違われやすい病気に掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)があります。これは手のひら、足の裏にかゆみの強い小さな水ぶくれが多数できる病気です。

 掌蹠膿疱症の治療は、ステロイド外用剤やビタミンD3外用剤が一般的です。その昔、あるタレントさんが掌蹠膿疱症の闘病宣言を行い、治療として使われたビオチン内服が注目されました。実際、掌蹠膿疱症に対しビオチン内服が効果を発揮する患者さんもいるのですが、治療効果に対するエビデンスは十分ではありません。

 掌蹠膿疱症は皮膚の症状だけでなく、関節の痛みが出る場合もあるので注意が必要です。重症の掌蹠膿疱症に対し生物学的製剤(トレムフィア)の使用が可能となっています。

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カビは皮膚の大敵