大塚篤司/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
大塚篤司/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
※写真はイメージです(写真/getty images)
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 水虫は皮膚糸状菌(白癬<はくせん>菌)というカビで、このほか、皮膚科が扱う疾患にはカビが関係するものがたくさんあります。京都大学医学部特定准教授で皮膚科医の大塚篤司医師が、皮膚にできるカビとその俗称、皮膚疾患に関わる方言を紹介します。

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 ワインは高級で”いちびった”(”調子に乗る”という意味の関西弁)お酒だと思っていました。それがピノ・ノワール(赤ワインとなるぶどう品種のひとつ)に出合い、私のなかで上品で優雅なお酒へと変わりました。ワインが飲めるようになり、以前は臭くて大嫌いだったブルーチーズのよさを知ります。ブルーチーズを一かけらナイフで取り、ハチミツを軽くつけて口の中に放り込んだ後、ピノ・ノワールを口に含む。至福の時です。

 ブルーチーズは青カビがつくる食材です。青カビはペニシリウムとも呼ばれ約150菌種に分類されます。その中には、チーズのもととなるペニシリウム・カマンベルティのほかに、抗生物質であるペニシリンを作る菌もあります。

 皮膚科もカビとは親和性の高い診療科です。水虫は皮膚糸状菌(白癬菌)というカビです。白癬の原因となるカビは世界に40種類以上あり、日本ではトリコフィトン・ルブルムとトリコフィトン・メンタグロフィテスが水虫の原因として最多です。

 カビは酸素、湿度、水分、栄養分の四つの条件で繁殖します。つまりジメジメしてちょっと汚いところに繁殖します。なので、足の指の間は水虫にとって絶好のすみかです。やっかいなことに、足の水虫は放置しておくと爪に広がります。ルコナックやクレナフィン(ともに商品名)といった爪白癬に効く外用剤も登場しましたが、治療に時間がかかります。水虫は、指の間の段階で治しておくことをおすすめします。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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水虫は体のすべてにうつる