こうした取り組みを支えているのは、学生の語学能力の高さだ。英語を使う生活を一定期間、経験したことがある学生が9割を占めるという。英語力を測る試験「TOEFL iBT」では80点以上の実力がある。これは海外の大学に進学するときに必要なレベルだ。

 大学を通じて身につけた実力は、就職実績にも反映する。ジョンソン・エンド・ジョンソン、JX石油開発、外国公館など外資系企業や海外に拠点を持つ企業、国際機関に就職する学生が多い。学生が海外に渡り、内定をもらってくることも珍しくない。企業がGISの学生に個別に企業説明会を開くこともある。

 海外の大学院に進学する学生も増えてきているという。一度就職して進学費用を稼いでから大学院に進む学生も多い。GISには早期卒業制度があり、成績優秀者に限り、最短で3年間で卒業することができる。毎年1人はこの制度を利用して進学するという。

「海外の企業を志望する場合、修士号や博士号を取得していないと評価されない。社会的にも学士号だけでは十分な知識がないという認識が強まってきている。学生の親にも海外経験者が多く、大学院に進ませたいと希望する声を多く聞きます」(同)

 競争相手は世界。小さな学科から世界基準の人材が育ち、大きく羽ばたくことが期待されている。(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2019年4月5日号

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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