*  *  *

3月18日(月)朝:公式練習初日。早朝から長蛇の列。「自由席なので、少しでもリンクに近い席を確保するため」とファン。しかし、この日はリンクに羽生は現れなかった。つめかけたファンは870人。

夜:羽生が羽田空港に帰国。

「誰に勝ちたいではなく、己に勝ったうえで勝ちたい」(フジテレビのインタビュー)

3月19日(火)午前:公式練習でリンクに羽生が登場。氷の感触を確かめるようにリンクを何周も滑った。

 曲かけ練習では4回転をまず単独で成功。拍手が鳴り響く。その後、トリプルアクセル。さらに何度か4回転ジャンプを成功させ、最後はイーグルでぐるりとまわり、観客の笑いを誘う余裕を見せた。

「4回転ループを跳べるようになったのは3週間くらい前。50本に1本跳べるようになったぐらい」「五輪のときと違って、ループを跳ばないといけないという使命感がすごくある」「大きな箱の中で、暴れる炎になれていると思う」(男子シングル日本代表会見)

夜:この日2回目の公式練習は練習用リンク(観客数は990人)で。FSの曲かけ練習では、冒頭の4回転ループ、続く4回転-3回転のコンビネーションもミス。その後の単独4回転は成功。最後の1分ではジャンパーを羽織り、それをなびかせながら滑る。去り際、リンク横にかけていたごみ袋も片づける羽生。

3月20日(水)夕:公式練習。羽生は、練習開始3分後に4回転サルコーを跳ぶ。その後トリプルアクセル、4回転-3回転コンビネーションを鮮やかに決める。

 4回転ループのタイミングが合わない様子。指をくるくるまわし、うんうんとうなずくしぐさ。

 その後、4回転ジャンプで転倒。観客席から悲鳴が上がる。だがすぐに立ち上がり、同じところで失敗したジャンプに挑戦。

3月21日(木)昼:SP前最後の公式練習。練習用リンクは4ブロックすべてが満席。羽生は練習着姿でリンクに現れる。

 わき上がる悲鳴を前に、海外メディアは「こんなのないですよ」。数分後、4回転を成功。

 曲かけ練習は、最初の4回転サルコーがぐらっとするが、何とか着氷。続くトリプルアクセルは2回転になってしまい、4回転-3回転のコンビネーションジャンプも着氷が乱れる。しかし、勢いのある本番さながらの滑り。スピンはとばして、SPの曲かけ練習を終了。

 その後、サルコー、コンビネーションジャンプを成功。ほかの選手の曲かけ練習が終わった瞬間を見計らって加速してジャンプしたり、何度も4回転ジャンプの入り方を確認したりしつつ、コーチのブライアン・オーサー氏の助言を仰ぐ。最後の数分間で、トリプルアクセルも、4回転サルコーも、4回転-3回転のコンビネーションジャンプも決めた。

 元五輪選手で、エフゲニア・メドベージェワの振り付けを担うミーシャ・ジーさんは「最高だね」の一言。この30分間の練習で、曲かけ練習以外で跳んだジャンプは計20回に上った。

 チェンと2人で観客席にあいさつして去る。

夜:注目の男子シングルSP。羽生はグループ1番滑走。曲は「秋によせて」。

次のページ
いっぱいいっぱいでした