終わったのは「会社人生」だけ 団塊世代が示す“新しい生き方” (3/4) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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終わったのは「会社人生」だけ 団塊世代が示す“新しい生き方”

首藤由之週刊朝日
北九州市の「生涯現役 夢追塾」の講義風景

北九州市の「生涯現役 夢追塾」の講義風景

 68~69歳で全員が会社員出身。ボランティアをしている意識はない。「出演依頼があって聴いてくれる人がいれば、どこにでも行く」が基本スタンスだ。メンバーの家族の友人が介護施設で働いていた縁で始まり、口コミで広がっていった。

 1ステージは約1時間。「ふるさと」や「花」のようにお年寄りが安心して聴ける曲に、得意のアメリカンフォークを交ぜ、時には「神田川」や「岬めぐり」などの70年代フォークも歌う。

 反応があるとやはりうれしいし、やりがいも出てくる。メンバーが次々に言う。

「生バンドを聴いて感激したのでしょう。認知症でふだんは感情を出さないおじいちゃんが急に大声で叫び始めたことがありました」

「踊り始める人がいれば、泣きだす人もいる。ふだんから見ているヘルパーさんが『こんなことは初めて』と言っていました」

「歌っている間にバンドのイメージをイラストにしてくれたお年寄りもいた」……

 健康である限りバンドは続けるつもりだ。

「仮に」と前置きした上で、自分たちが要介護状態になったときにどんな音楽を聴きたいかと尋ねると、「やっぱりアメリカンフォーク」という声に交じって「ビートルズ」も出た。

 ちなみに、先の新大人研の阪本所長は、団塊が介護施設に入り始める5年後ぐらいから、介護施設にギターが常備されるようになると予想している。そして皆で歌う歌は、童謡や文部省唱歌ではなく、吉田拓郎であり井上陽水だ。

 もう一つ、70歳を超えても社会貢献できる分野がある。仕事関連が主になるが、自分より下の世代に助言を与えたり正しい方向に導いたりする、いわゆる「メンター」としての役割だ。

 団塊より一回り以上も年長だが、立石博巳さん(85)はまだ現役の会社員だ。家具製造販売業「ワイス・ワイス」のエグゼクティブ・アドバイザーを務めている。

 大手百貨店、高島屋で東京建装事業部長など要職を歴任。家具業界はもちろん、内装やインテリア、建築業界で知らない人はいない超有名人だ。名刺の裏には役員などをしている関係団体の名前がずらり並ぶ。そんな立石さんは約3年前にワイス・ワイスに入った。なぜか。


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