アプリ開発、社会貢献…“終わらない”団塊の男たち

首藤由之週刊朝日
 大手広告会社、博報堂元常務の泊三夫さん(70)は、3月中に予定されているスマホ用アプリ「街道巡礼」の配信開始が待ち遠しくてならない。自らが発案し、6年がかりで進めてきたプロジェクトが一つの節目を迎えるからだ。

「街道巡礼」は、静岡市内にある東海道の六つの「宿(しゅく)」(蒲原、由比、興津、江尻、府中、丸子)に残る歴史的名所を紹介するアプリ。といっても、ガイドブックに載っているような観光地はほとんど登場しない。地域に残る言い伝えなどを郷土史家がじっくりフィールドワークして実証した「知られざる名所」が大半だ。

 泊さんが言う。

「地元の人が自分たちの地域を誇りに思える『本当の歴史』です。街道とそれにまつわる歴史を押し出していけば、必ず地域活性化につながると信じています。街道=道には、人と人をつなげる力がありますから」

 泊さんは全国各地にある「道の駅」を30年ほど前に最初に思いついた発案者の一人。道の駅は汚れたまま放置されていた国道のトイレ対策が発端だった。普及で問題が解決され、以来、社会課題の解決に向けた活動に「すっかりはまってしまった」という。

「街道」を使った地域活性化は、以前から頭にあった。2013年、常務を退任し顧問になり時機到来。自治体内に全国最多の六つの宿を抱える「静岡市」に目をつけた。

「難所と言われた二つの峠も静岡市内にあり、地元では『二峠六宿』と言われています。こんな自治体はほかにありません。やるならここ、と思いました」

 かすかなツテを手がかりに市や商工会議所に話を持ちかけたが、最初は相手にしてもらえなかった。めげずに旅館組合など地元を回っていると、「観光に役立つなら」と徐々に賛同者が増えていった。現役時から官公庁の予算を活用するノウハウを持っていて、文化庁の補助金が使えそうなこともものをいったようだ。

 地元の人と街道を歩くツアーを行ったり、小規模のイベントを開催したり。観光客を案内するボランティアガイドの団体には、東京から講師を呼んでの教育研修も行った。もちろんすべてボランティアだ。

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