◆秀才たちの読書

 愛読書は、国内外の小説やエッセーを答える声が多く、原書派もいた「ハリー・ポッター」シリーズ、『神様のカルテ』『1Q84』などが複数票を得た。夏目漱石は『こころ』など3作が入った。

 理科I類の稲森倫太郎さん(ラ・サール)は、『思考の整理学』を挙げた。“東大・京大で一番読まれた本”として、東大生協の年間文庫ランキングでも10年で7度1位となっている240万部超えの学術エッセーだ。文科III類の山田真帆さん(金沢泉丘)は岐阜出身で、高校から一人暮らし。「(同郷の)朝井リョウさんが好き。『時をかけるゆとり』はおもしろい」と語った。

 漫画好きな人にとって、受験期は忍耐力も必要──かと思いきや、理科I類に合格した男性は、漫画を手放さなかったという。

「大好きな『キングダム』の新刊発売日がセンター試験前日の1月18日だった。19日の試験終了直後に買いに行った。根を詰めて勉強したことはなかった」

 一方、『英単語ターゲット1900』『福間の無機化学の講義』などの参考書や、『落窪物語』『論語』などの古典文学のタイトルも複数挙がり、受験の支えとなった一冊への信頼や、知識に直結しそうな合格者の素養の広さもうかがえた。このほか、「JR時刻表」『広辞苑』の回答もあり、活用術を詳しく聞いてみたくなった。

◆入学前も勉強!?

 合格発表から入学式まで約1カ月。受験勉強から解放された彼らは、どのように過ごすつもりなのか。一番多かったのは「勉強したい」……。

 理科I類の谷聡太さん(開成)は「第二外国語の予習をする」、文科III類の野村日奈子さん(昭和女子大附昭和)は「アラビア語を勉強する」、理科I類の齋藤駿一さん(江戸川学園取手)は「大学の物理の先取り学習」。その向学心、「さすが」の一言である。

 このほか、理科II類の三田村大我さん(県立浦和)は「文系科目の勉強もしてみたい」。理科I類の蓮村龍さん(戸山)は「世界史のうち、高校で習ったところをもう一周」。数学IIIの勉強と答えた4人は、いずれも文系だった。

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