広島でスタメン落ちの危機の長野 (c)朝日新聞社
広島でスタメン落ちの危機の長野 (c)朝日新聞社

 セ・リーグで最もハイレベルな外野のレギュラー争いが繰り広げられているのが広島だ。不動のセンターだった丸佳浩巨人FA移籍。テレビ関係者は「丸が抜けたことは大きな痛手ですが、若手選手の目の色が違います。緒方(孝市)監督も誰をスタメンで起用するか迷うと思います」と分析する。

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 巨人から人的補償で加入した長野久義も実績十分だが、競争を勝ち抜かなければ定位置を確保できない状況だ。右翼は4番・鈴木誠也で確定。だが、左翼、中堅は固まっていない。

 クリーンアップを担う松山竜平、昨季25本塁打を放ったバティスタ、成長著しい野間峻祥、打撃センスは球界屈指の呼び声高い西川龍馬も本職は内野だが今季から外野に挑戦する。

 さらに、勝負強い打撃でパンチ力もある下水流昂、昨季ウエスタンで打率3割2分9厘をマークした坂倉将吾は本職が捕手だが、打力を生かして外野での出場機会を模索している。ドラフト6位の和製大砲・正随優弥にもチャンスはある。長野を入れて8選手が外野の2枠を巡り、熾烈な競争を繰り広げている。

 長野は34歳とベテランの域に入ってきたが、「まだまだ老け込む年ではない。長野の潜在能力はすごい。練習量は12球団でも一、二を争う広島でもう一度鍛え上げられれば、十分に成績を残せる」と球界関係者は評価する。他球団に移籍し、輝きを取り戻した好例がオリックス、巨人でプレーした谷佳知だ。度重なる故障の影響もあり、オリックス在籍時の05年は打率2割4分8厘、6本塁打、06年も打率2割6分7厘、6本塁打と精彩を欠いていたが、トレード移籍した巨人で移籍初年度の07年に打率3割1分8厘、10本塁打をマークするなど勝負強い打撃で同年からのリーグ3連覇に大きく貢献した。長野の月間成績を見ると近年は春先の成績がふるわない。3、4月の月間打率を見ると、15年が1割9分2厘、16年が3割1厘、17年が1割7分7厘、昨季が2割3分9厘。14年に右ひざを負傷した影響もあるかもしれない。打率3割を超えた16年を除き、肌寒い時期は本来の力を発揮できていない。心配はケガだ。14日のオリックス戦で右ふくらはぎに死球を受けて途中交代した。春先からエンジン全開でスタートダッシュをかけるためにも、オープン戦で状態の良さをアピールしたい。(春日哲也)

週刊朝日  2019年3月29日号