復活Vへ期待がかかる羽生結弦。新ルールを追い風にできるか(c)朝日新聞社
復活Vへ期待がかかる羽生結弦。新ルールを追い風にできるか(c)朝日新聞社
公式練習で4か月ぶりに公のリンクに姿を現した羽生結弦(撮影/加藤夏子)
公式練習で4か月ぶりに公のリンクに姿を現した羽生結弦(撮影/加藤夏子)

 世界選手権(20~24日、さいたまスーパーアリーナ)での優勝の期待が高まる羽生結弦。19日午前の公式練習で、4カ月ぶりに公のリンクに姿を現した。昨年11月のグランプリシリーズロシア大会の公式練習中に右足を負傷し、その動向が注目されていた。

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 羽生がリンクに登場すると観客席からは割れんばかりの拍手が上がった。羽生は氷の感触確かめるようにリンクを何周も滑った。リンクとブライアン・オーサーコーチのところを何度も往復した後、ジャンプを跳んだ。

 11時14分からは、羽生の曲かけ練習が始まった。アナウンスで名前がよばれると再び、大きな歓声が上がった。4回転をまず単独で成功。拍手が鳴り響く。その後、トリプルアクセル。また大きな拍手。会場は「これは試合か!」と思うほどの雰囲気で、マスコミのカメラのシャッター音は絶えず、観客は羽生の動きを一瞬たりとも見逃さないように真剣な眼差しでその姿を追いかけていた。最後のコンビネーションジャンプは失敗したものの、最後のステップはしっかりこなした。終わった後も拍手。

 その後も何度か4回転ジャンプを成功させ、最後はイーグルでぐるりとまわり、観客の笑いを誘う余裕を見せた。リンクを去る前には、笑顔を見せて観客に向かって深くお辞儀をした。

 公式練習では順調な仕上がりをみせた羽生。実力をつけてきた宇野昌磨や米国のネーサン・チェンなど強力なライバルたちと闘うことになるが、けがからの復活Vの可能性はあるのか。

 その鍵の一つとなるのが、国際スケート連盟(ISU)が今シーズンから採用した新ルール。シーズン終盤に入り定着しつつあるが、世界選手権の勝敗にはどのような影響があるのか、解説者らに聞いた。

 新ルールで注目したいのがまず、ジャンプ。出来栄え点(GOE)が7段階から11段階になり、加点と減点が最大「3」から「5」へと広がった。反対にジャンプの基礎点は下がった。

 近年は、難易度の高いジャンプは基礎点が高いため、転倒してでも挑戦する傾向が見られたがその分、ミスや転倒も増えた。フィギュアスケート解説者の本田武史さんは新ルールの意図を分析する。

「加点も減点も大きくなったことで、以前より、一つのジャンプミスが全体の点数に大きく影響するように。ミスのない演技が、男女ともに求められるようになりました」

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ジャンプだけじゃない。採点の重要ポイントとは