「よくない」という人はいないという宮原のフリーの演技(c)朝日新聞社
「よくない」という人はいないという宮原のフリーの演技(c)朝日新聞社
世界選手権を前に、18日の会見で笑顔を見せる女子シングル代表3人。左から宮原知子、坂本花織、紀平梨花(撮影・加藤夏子)
世界選手権を前に、18日の会見で笑顔を見せる女子シングル代表3人。左から宮原知子、坂本花織、紀平梨花(撮影・加藤夏子)

「いい順位を、という気持ちはあるんですが、結果は今は考えていません」

【写真】18日の会見でガッツポーズを決めた宮原選手ら

 5年ぶりに日本開催となるフィギュアスケート世界選手権(20~24日、さいたまスーパーアリーナ)を前に18日午後、女子シングルの記者会見が開かれ、宮原知子が率直な気持ちを明かした。

 先だって行われた公式練習では、宮原と坂本花織がフリーのプログラムを曲をかけて練習。坂本はジャンプで転倒するなど「らしくない姿」がみられたが、宮原は着氷時の大きな乱れもなく、完ぺきにこなした。報道陣からも「やっぱり完ぺきだったね。さすがミスパーフェクト」という声が漏れた。

 4分間に選手の人生が表れる──。勝敗はさておき、では各選手のフリーの演技をこうした視点で観戦するのも楽しみ方の一つだろう。

 フリーの楽しみ方について、解説者の佐野稔さんはこう説く。

「これまで生きてきたすべてが、滑りに表現される。その人の歴史が反映される。スケーターは見せようと思っていなくても、わかる人には見えてしまうのです。ショートでは見えないけど、フリーを見れば、いい子だなとか、意地悪そうだとか、わかっちゃいます(笑)。目線の送り方にも性格は出るものです」

 詳しいルールはわからないが、演技を見て「この人を応援したい」と感じたことはないだろうか。そのとき、スケーターの人生に共感したり、魅了されたりしているのかもしれない。
 
 例えば、宮原。演技に感情をゆさぶられる人がいかに多いか。ファンを対象にした週刊朝日独自のアンケートでは「今シーズンの洗練された美しさに驚きました!」(20代、主婦)、「くさらず、あきらめずに上を目指して努力する姿に感銘を受けます」(40代、公務員、女性)といった回答が寄せられた。

 その宮原の今季フリーのプログラムは「ブエノスアイレスの冬」。昨年12月の全日本選手権では、黒い衣装に映える真っ赤なリボンで、きりっとした表情でリンクへ臨んだ。結果は、後半のジャンプのミスが響き、最終順位は3位にとどまった。

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角度を変えると違う世界が…宮原の本領とは