ちなみに、アルカリ性食品を食べると健康になる、みたいなのは俗説で、アルカリ性食品と健康には直接の関係はない。

 しかし、ネットで「アルカリ性食品」を検索すると、かなりでたらめなサイトがみつかる。個人的には、酸性食品、アルカリ性食品はまったく意味のない、ナンセンスな分類だと思う。カリウムやリンの個別の摂取量を確認するだけで十分ではないか。最近ではこういう呼称を使わない人が増えていると思う。意味ないし。

 いずれにしても、カリウムもカルシウムもマグネシウムも必要量とるべきだが、とりすぎは健康によくない。水や塩と同じだ。低カリウム血症も高カリウム血症も病気であり、低カルシウム血症も高カルシウム血症も病気であり、低マグネシウム……以下同文……なのだ。人間には適正値、というものがある。多すぎるのも少なすぎるのも体によくない。繰り返す。「アルカリ性食品」を食べると健康になれる、みたいな俗説はナンセンスなでたらめにすぎないのだ。

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岩田健太郎

岩田健太郎

岩田健太郎(いわた・けんたろう)/1971年、島根県生まれ。島根医科大学(現島根大学)卒業。神戸大学医学研究科感染治療学分野教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。沖縄、米国、中国などでの勤務を経て現職。専門は感染症など。微生物から派生して発酵、さらにはワインへ、というのはただの言い訳なワイン・ラバー。日本ソムリエ協会認定シニア・ワインエキスパート。共著にもやしもんと感染症屋の気になる菌辞典など

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