東海地方に住む伊藤静雄さん(仮名・53歳)は、25年前に近郊の資産家の女性と結婚した。当時は年収200万円と低収入だったが、妻の実家に婿入りをして、“マスオさん”に。

「子供に恵まれませんでしたが、妻とは仲の良い夫婦でした。ところが結婚15年目に、交通事故に巻き込まれて入院。完治したものの、後遺症が残って疲れやすく、激しい運動ができなくなったんです。それがきっかけで、とんでもないことが起こりました」

 姑に呼ばれて「家族会議」に出席すると、その場で姑から「子供を作れないなら、離婚して出ていってくれ」と言われた。妻がかばってその場は収まったが、姑のいびりやいじめはエスカレートするばかり。部屋にごみをまき散らされ、朝ご飯抜きの日もあり、帰宅すると玄関に鍵がかかっていて家に入れないことも……。

「そのうち妻もよそよそしくなり、家出したんです。警察に捜索願を出しましたが、取り合ってくれません。姑も涼しい顔をしていたので、何かたくらみがあるのかと警戒していたら、半年後、妻が帰宅しました」

 驚くことに帰宅した妻からは「妊娠した」と告げられ、屋敷内の離れにある小さな家に住み、出産後は子供と2人で暮らすようになったのだ。

「すべて姑の指図とわかり、怒りがわきあがりました。裁判を起こし、DNA鑑定の結果、妻と子供が親子でないことを証明したんです」

 妻は姑の指図に従っただけ。子供にも罪はない。だが、伊藤さんの怒りは収まらない。姑のいじめも日常化しているが、「姑が土下座して謝るまで、絶対に離婚しない」と、崩壊した結婚にしがみついている。

■仲人上司に遠慮 出世か離婚か…

 上司が仲人という理由で離婚を決意できないのが、1部上場ハウスメーカー勤務の有馬悟さん(仮名・39歳)。一つ年上の妻との間に2人の子供がいる。

「妻の浮気が原因で『離婚』という文字が浮かびました。でも仲人が直属の上司で、経理部長です。妻が営業アシスタントのころに部長に可愛がられて。もし離婚になったら、目の前にいる部長からにらまれるのは間違いありません」

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