帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
写真はイメージです (c)朝日新聞社
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 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のタイトルは「ナイス・エイジングのすすめ」。

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【ポイント】
(1)アンチ・エイジングでなくナイス・エイジング
(2)タンパク質が糖化して悪玉物質AGEが生じる
(3)AGEを減らす対策を考えよう

 認知症は、病というよりは老化現象の一つであるということを以前述べました(2018年5月18日号)。だからこそ、人間をまるごととらえるホリスティック医学のアプローチが必要になってくるのです。

 そして、その老化現象とはどういうものなのかを説明しようとすると、さまざまな側面があって一口では語れません。大まかに言えば「老化現象」とは「老化によって体に起こるさまざまな変化。基礎代謝・循環・呼吸・腎・神経・免疫などの機能が低下し、疾患にかかりやすくなる」(広辞苑)ことだといえます。

 ただ、そこに付け加えなければいけないのは、人間にとって老化は宿命だということです。生きとし生けるものにとって、老化とは自然な営みなのです。

 ですから私はアンチ・エイジング(anti-aging)という言葉が好きではありません。老化に対抗しようというのは、無意味なことに思えるのです。それよりも、老化に身を任せながら可能なかぎりその質を高めていけば、いいのではないでしょうか。私はそれをナイス・エイジング(nice-aging)と名付けています。

 ナイス・エイジングのためには、老化を加速させないことが大切です。老化により認知症に突入するのではなく、生命のエネルギーを高めたまま、あの世に飛び込みましょう。

 近年、老化の新たな仕組みが注目されるようになってきました。それを知ることは、老化を加速させないために役に立ちそうです。

 その仕組みのポイントは「糖化」です。糖化とはタンパク質が糖に結びつくことによって、劣化することをいいます。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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