医師が患者と連絡先を交換することは、なぜいけないのか? (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

医師が患者と連絡先を交換することは、なぜいけないのか?

連載「現役皮膚科医がつづる “患者さんと一緒に考えたいこと、伝えたいこと”」

このエントリーをはてなブックマークに追加
大塚篤司週刊朝日#ヘルス
大塚篤司/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医

大塚篤司/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医

※写真はイメージです(写真/getty images)

※写真はイメージです(写真/getty images)

「患者さんと連絡先交換しちゃだめだよ」。京都大学医学部特定准教授で皮膚科医の大塚篤司医師は、新米医師時代、先輩医師にそう注意されても、お互い同意のもとで連絡先を交換するのなら、問題ないと思っていたそうです。しかし、のちにそれが患者にとって「特別な意味を持つ」ということに気づかされます。大塚医師が自身の体験をもとに振り返ります。

*  *  *
 診察を終えたオーストラリア人の患者さんが私に連絡先を渡してきました。

「よかったらお茶でもしよう」

 医者1年目でちょっぴり英語がしゃべれた私は、外国人の患者さんを担当することがしばしばありました。

 患者さんからのはじめてのお誘いがうれしくて、私は自分のメールアドレスを彼に渡しました。

 その様子をみていた先輩医師が慌てて近づいてきます。

「先生、患者さんと連絡先、交換しちゃだめだよ」

 私は内心ムッとしました。

 なんでだよ。

 勝手に連絡先を入手したのならともかく、お互い同意のもと連絡先を交換するのは問題ないじゃないか。私は心の中で反発しました。

 結局、そのオーストラリア人の患者さんとは一度も連絡を取ることはありませんでしたが、このときの私は、患者さんと個人的に連絡を取ることの「責任」をわかっていませんでした。

 東照子(あずまてるこ)さん(仮名)は、はじめて担当した悪性黒色腫(皮膚がんの一種でほくろのがんともいわれる。別名メラノーマ)の患者さんでした。

 私は幼少期からおばあちゃんが大好きでした。それは、父方の祖母、母方の祖母、どちらもとても優しく、私が医者になりたい気持ちを一生懸命に応援してくれたからだと思います。

 残念ながらふたりとも、私が医者になる前に亡くなってしまいました。私は祖母が応援してくれた気持ちに応えたい、ずっとそう思い続けていました。

 よいお医者さんになってほしいと願っていた祖母2人と東さんは、どこかダブって見えました。

「先生の住所を教えてください」

 東さんは孫に話しかけるように優しく私に聞いてきました。

「うちでとれた新鮮な野菜を送ります」

 それから東さんと私との「祖母と孫」のような関係が始まりました。


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

関連記事関連記事

このエントリーをはてなブックマークに追加
あわせて読みたい あわせて読みたい