僕はテレビ番組の意味として「記録する」ということもすごく大事な意義があると思っている。現存するテレビ番組の中で、その頂点に立つのは「徹子の部屋」だと思うのだが、「ゴロウ・デラックス」も、「記録する」番組だったと思う。番組8年間を振り返ってみると、既に他界された作家さんも結構いて、その話している姿が記録されている。貴重だ。番組は終わるが、ぜひレジェンド作家さんが出演された回をアーカイブとして、ネットなどで誰もが無料で見られる形で残せたりしたら素敵だなと勝手に思ったりする。

 そして、「ゴロウ・デラックス」の司会、稲垣吾郎さん。番組が始まった時は、まだSMAPだった。16年に解散し、事務所を辞め、「新しい地図」になり今に至る。そのことを彼が番組で語ることはないが、毎週放送されている中での彼の表情や発言に、少なからずメッセージが出ていたと思う。まさに「記録」である。そして、本の読み手としての成長と進化もすごかったと思う。特に解散後、読み手としても大きな変化をしていったと感じているのは僕だけじゃないはずだ。「ゴロウ・デラックス」は終わるが、このような番組がテレビの中で生まれて、「記録」を残していくことを願います。少し早いですが、稲垣吾郎さん、スタッフの皆様、お疲れさまでした。

週刊朝日  2019年3月22日号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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