林:そんなに大変だったんですね。

貴乃花:家の中ではいつも和気あいあいで、そういうことはまったく家庭に持ち込まなかったんですけど。ただ私も父(故・元大関貴ノ花)が相撲取ってるのをテレビで見ざるを得ない状態で育ってきて、尋常じゃない精神状態になっちゃうときもあるので、それが長男(優一さん)と元嫁にはつらい部分も多分にあったと思うんです。

林:ご長男もいろいろ大変みたいですが、仲良しなんですか。

貴乃花:まあ、連絡は来ます。

林:そうですか。「連絡もない」みたいな書き方をしている週刊誌もありますけど。

貴乃花:まだ23歳で、職人としてもこれからなのに、テレビに出させてもらったりして、そこがちょっとあれですよね。出るたびに私は心配で、「出なくていいのに」と思って。せっかく靴職人といういい職を選んだので、もっともっと経験を積んでもらって……と思います。

林:優一さんはテレビで「うちの父ぐらいカッコよくて素晴らしい人は見たことない」と言ってましたね。

貴乃花:そんなことばっかり言うので、「息子がそんなこと言うのはおかしいから、もう言うな」ってちょっと叱ったんです(笑)。

林:こんなことお聞きするのはあれなんですけど、お母さまやお兄さんとは……。

貴乃花:ぜんぜん連絡とってないです。

林:でも、お母さまは一生懸命コールなさってるじゃないですか。

貴乃花:そのときが来たらいいな、と思ってはいるんですけどね。

林:家族って煩わしいこともありますけど、なんでそんなにつらい道を自ら選ぶんですか。

貴乃花:すごく感謝はしてるんです。だけど横綱をやらなきゃいけなかったことと、私が親父の跡を継いで、親父の弟子が自分の弟子になったので、代わりにやらなきゃという気持ちがありました。それで離散という形になってしまいましたけど、私ももう引退したので、そんなに肩肘張る必要もなくなった。だから今後は普通に会えるかなと思います。

(構成/本誌・松岡かすみ)

週刊朝日  2019年3月15日号より抜粋