織田裕二(左)、鈴木保奈美 (c)朝日新聞社
織田裕二(左)、鈴木保奈美 (c)朝日新聞社
平成ドラマ視聴率ランキング(ビデオリサーチ調べ)  (週刊朝日 2019年3月15日号より)
平成ドラマ視聴率ランキング(ビデオリサーチ調べ)  (週刊朝日 2019年3月15日号より)
平成時代の主なドラマ100選(1/3)  (週刊朝日 2019年3月15日号より) ※写真=(c)朝日新聞社
平成時代の主なドラマ100選(1/3)  (週刊朝日 2019年3月15日号より) ※写真=(c)朝日新聞社
平成時代の主なドラマ100選(2/3)  (週刊朝日 2019年3月15日号より) ※写真=(c)朝日新聞社
平成時代の主なドラマ100選(2/3)  (週刊朝日 2019年3月15日号より) ※写真=(c)朝日新聞社
平成時代の主なドラマ100選(3/3)  (週刊朝日 2019年3月15日号より) ※写真=(c)朝日新聞社
平成時代の主なドラマ100選(3/3)  (週刊朝日 2019年3月15日号より) ※写真=(c)朝日新聞社

“月9”全盛時代の「東京ラブストーリー」「101回目のプロポーズ」から、“冬彦さん”に“古畑”“ヤンクミ”“右京さん”そして、“キムタク”、「半沢直樹」「おっさんずラブ」まで平成30年間で多くの人気ドラマが誕生した。名ゼリフや主題歌とともに、平成の民放ドラマ史を振り返る。

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 華やかなカタカナ職業のオシャレな若者たちが都心で遊び、恋愛する。「君の瞳に恋してる!」や「世界で一番君が好き!」など平成初頭の人気ドラマには、昭和後期の「トレンディードラマ」の空気が残る。

「トレンディードラマは、当時の若者スタイルのマニュアルのようでもありました。その後、『月9』という枠のドラマのキーワードのようになって、さほどトレンディーじゃないものまで含まれるようになっちゃいました」

 こう語るのはコラムニストの泉麻人さんだ。

「『東京ラブストーリー』に『同・級・生』、『あすなろ白書』。柴門ふみ原作モノの恋愛ドラマは平成時代前半の“石坂洋次郎モノ”ですね」

 バブル崩壊後に、ドラマで描かれる恋愛に変化が表れる。サブカルチャーに詳しい評論家の中森明夫さんは、「トレンディーから一転、純愛ドラマに」流れが変わったという。

「その代表が、『101回目のプロポーズ』です。“W浅野”と呼ばれトレンディードラマの女王だった浅野温子が一途な女を演じ、オシャレさとは真逆のような武田鉄矢との純愛を描き、大ヒットしました」(中森さん)

「東京ラブストーリー」や「101回目のプロポーズ」など平成初期の純愛ドラマ人気の理由について、ドラマ評論家の成馬零一さんはこう分析する。

「上を見ればキリがないし、みんながみんな華やかなグループ恋愛なんてできるわけでもない。実は武田鉄矢や田舎から出てきたカンチ(織田裕二)に近い人のほうが多かった。バブルの浮かれ気分に無理があると気が付いた時代でした」

 平成5(1993)年の「高校教師」をはじめ、「ひとつ屋根の下」「家なき子」「星の金貨」などヒットを連発したのが、野島伸司の手掛ける作品だった。

「野島ドラマで描かれる人間の中にある暗闇が、バブル後の不安な時期に受けました」(成馬さん)

 恋愛ドラマで描かれる主人公の年齢層も、時代とともに上昇していったと泉さんは言う。

「平成3(91)年に“ヴァンサンカン(25歳)”だったのが、その後、“29歳のクリスマス”“Age,35”ときて、平成20年代にはいよいよ“最後から二番目の恋”にまでなった。一番恋愛ドラマを見るバブル期に20歳前後だった層とともに、主人公の年齢もつり上がっていったのが面白い」(泉さん)

 平成10年代、2000年代に突入すると、宮藤官九郎(「池袋ウエストゲートパーク」)や堤幸彦(「トリック」)が手がける、細かな設定や小ネタを盛り込んだドラマの人気が高まった。成馬さんは、この時代にブームとなった「新世紀エヴァンゲリオン」などアニメ作品の楽しみ方との共通点を指摘する。

「録画したりDVDを買ったりして何度も繰り返し見ることで細かなネタや伏線を楽しむようになり、放送終了後にさらに人気が拡大することも多くなりました」(成馬さん)

 これらの作品は、コメディー要素が強いものも多い。

「下北沢の小劇場センスの笑いがメジャー化したということでは」(泉さん)

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