初期の症状はドライアイと似ている。しかし症状が進行すると、開けようとしても手を使わなければ目が開けられなくなる。人によっては抑鬱症状も出る。まぶしさや痛み、目の乾き感が常にあって苦しむ。外を歩くと無意識に目をつぶるようになり、多くの場合、自動車や自転車にも乗れなくなる。ひどくなると日常生活に制限が出て、仕事も続けられなくなる。進行すれば、最終的には「機能的失明状態」になる。

「しかし視力、つまり目の機能に問題はないので、規定の視力や視野検査では問題なしとされ、視覚障害者として認定はされません」

 気になる人は、下記の「眼瞼痙攣チェックリスト10」で症状を確認しよう。二つ以上に該当すれば眼瞼痙攣の可能性がある。迷わず、神経眼科医のいる病院で診てもらおう。若倉医師によると病は7~8年かけて進行する。圧倒的に女性に多い病気で、50代以上が多い。

「何の前触れもなく、運転中突如として金縛りにあったみたいに目をつむり、そのまま衝突。そこから症状が出るという患者もいました。筋肉の緊張を和らげるためにボツリヌストキシンを注射する療法など対処法はありますが、根治は難しい」(若倉医師)

 感覚過敏タイプの場合、原因の3分の1が長期使用の薬剤によるものと考えられるという。

「睡眠導入剤や向精神薬として使われるベンゾジアゼピン系、およびその類似薬が引き起こします。しかし、だからといって、その薬を急にやめると離脱症候群が起きてさらに目が悪くなるということもあるので、注意が必要です」(同)

 仕事や家族関係のストレスでなる人や親子で症状が出る人もいるという。(本誌・大崎百紀)

■眼瞼痙攣チェックリスト10
(二つ以上当てはまる人は眼瞼痙攣の可能性がある)*若倉医師監修
〇いつも光がまぶしい
〇まばたきの回数が多くなった
〇目を長く開けていられない
〇両目を開けているよりも、片目をつぶった状態でいるほうが楽
〇目が乾き、しょぼしょぼした不快感が続く
〇目を閉じるとすぐには開けられない
〇以前のように自然なリズムのまばたきができない
〇顔がひきつったり、勝手に動いたりして歪んでしまう
〇ドライアイの点眼薬を使用しても自覚症状がほとんど改善しない
〇人やモノにぶつかりやすい

週刊朝日  2019年3月15日号