がん患者の入院から社会復帰までかかわる麻酔科医が「手術室の内科医」と呼ばれるワケ (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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がん患者の入院から社会復帰までかかわる麻酔科医が「手術室の内科医」と呼ばれるワケ

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中寺暁子週刊朝日#ヘルス
順天堂大学順天堂医院麻酔科・ペインクリニック教授 稲田英一医師(撮影/写真部・加藤夏子)

順天堂大学順天堂医院麻酔科・ペインクリニック教授 稲田英一医師(撮影/写真部・加藤夏子)

 患者と接する機会は少ないが、がん治療において重要な役割を担う麻酔科医。その人数が常勤で確保されている病院は、がん手術の質が高いと聞いた。週刊朝日ムック「手術数でわかるいい病院2019」では、手術室の麻酔科医を取材した。

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 手術中の患者が痛みを感じないように麻酔をする医師。麻酔科医をそのように認識している人は多いかもしれない。

「麻酔科医は手術室の内科医だと思っています」

 そう話すのは、順天堂大学順天堂医院の麻酔科医、稲田英一医師。麻酔科医は痛みだけではなく、呼吸、血圧、体温、出血量など手術中の全身を管理している。特に全身麻酔をかけると自律神経が働かなくなるので血圧がコントロールできなくなったり、全身の筋肉が弛緩するため自発呼吸ができなくなったり、通常の全身状態ではなくなる。また、持病がある場合、患者が高齢もしくは小児の場合、手術が長時間に及ぶ場合など、重点的に管理する内容はより多くなる。

「患者さんの全身状態を知るために重要なのが、術前の評価です。病歴や服用している薬を把握するほか、がん特有の障害も理解しなければなりません。術前に薬物療法をしていると、貧血や出血傾向があり、出血量の管理を厳重にする必要があります。放射線治療を受けていると首が動かしにくく、術中に人工呼吸器をつけるための管を気管に挿入しにくいといった問題点も出てきます」(稲田医師)

 術前は全身状態を把握するほか、患者との面談で患者の心理的状況を理解し、不安をとり除くことも重要な役割だ。

「手術を受ける患者さんの多くは、『麻酔から覚めないのではないか』『途中で麻酔が切れて痛いのではないか』といった不安を抱えています。『手術中は麻酔科医が常にそばにいて、必要に応じて麻酔を追加し、目覚めたときも痛みを感じないように管理します』といった説明をして、安心してもらいます」(同)

 麻酔科医が術前に患者と接するのは基本的には1~2回。短時間で信頼関係を築くために、患者の身体的・心理的状況をいかに理解するかが重要だという。


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