カルロス・ゴーン日産前会長 (c)朝日新聞社
カルロス・ゴーン日産前会長 (c)朝日新聞社
ホンダの事業別業績(2018年4~12月期) (週刊朝日 2019年3月8日号より)
ホンダの事業別業績(2018年4~12月期) (週刊朝日 2019年3月8日号より)

 カルロス・ゴーン前会長を“追放”した日産自動車。仏ルノーとの関係や北米事業の不振など、先行き不透明な課題が多く、ルノー・三菱自動車との3社連合は「弱者連合」になる恐れがある。業績悪化のホンダも加わり、4社による「非トヨタ連合」再編は起きるか。ジャーナリストの井上久男氏がレポートする。

【図表で見る】ホンダの事業別業績

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「2021年中に英国での完成車生産を終了させる。これはブレグジット(英国のEUからの離脱)とは関係ない。次期シビックをどこで生産するのかを検討し、グローバルに最適化することにした」

 ホンダの八郷(はちごう)隆弘社長は2月19日の会見でこう語ったものの、ブレグジットが英国撤退の経営判断を後押ししたことは間違いないだろう。従業員約3500人の処遇について、労使協議を始めたが、解雇も視野に入っている。

 英国工場で生産するハッチバックタイプの「シビック」は、年約16万台。うち55%を北米に、残りをEUや日本などに輸出する。モデルチェンジを機に北米に生産を移し、英国工場を閉めることにしたのだ。

 18年4~12月期決算で、ホンダの欧州事業は売上高6668億円、営業利益86億円で、営業利益率はわずか1.3%。英国の子会社をかつて減損処理するなど、欧州事業は不振が続く。「ハードブレグジット(合意なき離脱)」にでもなって、英国からEUに輸出するクルマに関税がかけられると、競争力を失ってさらに収益性が悪化すると判断し、早期の対応をとったとみられる。

 今のホンダの悩みは、主力の四輪事業の低収益性。世間から見ると意外かもしれないが、役員経験のある有力OBは「経営危機寸前の崖っぷちに立っている」と指摘する。

 その苦境は決算データが如実に物語る。主力の四輪事業は、二輪事業や金融サービス事業よりも利益率が大幅に低い。18年10~12月期だけでみると、四輪の営業利益率はさらに悪化してわずか1.4%。ホンダの四輪事業の利益率は、トヨタや日産と比べても低い。

 ホンダのある役員は「四輪は大胆な構造改革を進めないと、いずれ赤字に陥る」とみる。今のホンダは、主力の四輪が、二輪や金融の利益で食わしてもらっている状況なのだ。

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