職業生活と私生活は、どうしてもリンクするものです。仕事が安定して自分に本当に自信が持てたときが、あなたの結婚しようと思うタイミングかもしれませんね。30歳というと、会社から信頼されて仕事を任されるまでには、まだ少しかかる年齢。仕事で、成長過程の何らかの山を越えたときに、「結婚しよう」と自然と思うのかもしれません。要するに、その気になるまで待てばいいんです。

 ただ、あんまり慎重すぎるのも考えものですね。「一生、一緒にいられるだろうか」なんて心配するだけ無駄。泣いたり笑ったりけんかしたりしているうちに、20年、30年と過ぎていきます。それに、「結婚」ではない関係もあっていいと思いますよ。パートナーとともに生きる生き方には、多様なものがあっていいはずです。どういう関係をつくるのかは、あくまでも当事者同士で決めることなのですから。

「結婚とは何か」「結婚の先に何があるのか」とありますが、本当に人それぞれ。結婚って、私も1回しかしたことがないので、経験豊富とは言えないんですけど(笑)、一つ言えるのは、前にもここでお話ししたように、「愛する」ということは、努力によって成り立つということ。私もあまり偉そうなことは言えないのですが……。

 私は、あなたの結婚に対する姿勢は、堅実で良いと思いますよ。だから同じように堅実な考えの人を探したらいい。人生100年時代と言われる今、30歳なんてまだまだ青年。肩の力を抜いて、あなたのペースで考えたらいいと思います。

週刊朝日  2019年2月8日号

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前川喜平

前川喜平

1955年、奈良県生まれ。東京大学法学部卒業後、79年、文部省(現・文部科学省)入省。文部大臣秘書官、初等中等教育局財務課長、官房長、初等中等教育局長、文部科学審議官を経て2016年、文部科学事務次官。17年、同省の天下り問題の責任をとって退官。現在は、自主夜間中学のスタッフとして活動する傍ら、執筆活動などを行う。

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