活字づくりにセルロイド人形…“絶滅危惧職”を担う名人の思い (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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活字づくりにセルロイド人形…“絶滅危惧職”を担う名人の思い

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鈴木裕也週刊朝日
【活字鋳造】佐々木勝之さん(44)/「活字は終わった技術だが必要とされる限り続けたい」

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【セルロイド人形】平井英一さん(72)/「熱心なファンがいる限り“ミーコ”を作り続けたい」

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■セルロイド人形/平井英一(72)

 各地で行われる人形市やドールショーで、ひときわ異彩を放つセルロイド人形「ミーコ」。高度成長期にプラスチック製品に淘汰されて消えたセルロイド人形を今も作っているのは、日本でただ一人・平井玩具製造所の平井英一さんだけだ。

 同業者がプラスチック製品(多くはポリ塩化ビニル=塩ビ製)に移行するなか、「俺はやめられない」と、セルロイド製品にこだわり、人形やお祭りで売るお面の製作から正月向けの縁起物にシフトすることで時代の変化を乗り切ろうとした父の家業を、平井さんも手伝った。

 セルロイド人形作りを再開したのは平成14年。「最後に一度セルロイド人形を復活させたい」というのが父の願いだった。これが、平井さんにとっては初めてのセルロイド人形製作となったが、そのおかげで制作工程を学ぶことができた。

残っていたセルロイド人形用の金型は一つだけ。もう金型職人もいないし、セルロイド成型の機械も壊れたら修理できない。

「それでもプラスチックにはない軽くて薄い独特の風合いを愛する熱心なファンがいる限り、作り続けたい」

 セルロイド人形本体は裸の状態で3500円、服を着た人形は6000~7000円で販売。セルロイド人形のファンは、自分で人形用の服を作り、着せ替えて遊ぶという。「肌の色を黒くしてほしい」と注文してくるマニアもいるという。

 弟子入り志願者に製造技術は伝えたが、商売として成り立たないため、跡を継ぐ者はいない。

#データ
平井玩具製造所
東京都足立区辰沼2-14-2

(文/本誌・鈴木裕也)

週刊朝日  2019年3月1日号


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