「23、24歳くらいから自分のブランディングを考えるようになって、20代中盤は自分の価値を高めるために作品を選んでいたし、逆に価値を下げないように作品を絞ってきました。ただ、もうすぐ20代が終わるとなったとき、失われていく役があることに気づいた。わかりやすく言うと学生役とか。一度失ったら、どんなに望んでも取り戻せない。それって、一度きりの人生において、かなり取り返しのつかないことだし、悔いの残らないようにやっていきたい、残しておきたいって思ったんです。気づくのがちょっと遅いんですけど(笑)。『半分、青い。』の高校生役も、過去の自分の考え方だったら『さすがにもうキツいでしょ、他の人がやったほうがいいでしょ』と言ってやらなかったかもしれない。でもまだギリギリ『全然大丈夫』と言ってくださる方がいるうちに、やっておこうと。ここ1、2年はそういう思いで、意識的に作品数を増やしてきました」

 役者の仕事のおもしろさには早いうちから気づいていた。

「高校2年生のときから事務所に入って月に1回くらいレッスンを受けていたんですが、そのときに芝居っておもしろいなと。高校3年生で『仮面ライダー』をやったとき、『この仕事をずっと続けられたらいいな』と思いましたね」

 自分を客観視できる頭のよさを持ちながら、どこか秘めた情熱がある。プライベートの楽しみは、リアル脱出ゲームや謎解き系のゲーム。もう4、5年ハマっているのだとか。

「何事においても、僕が『好き』といった場合は、だいぶ好きだと思ってもらって間違いないです」

(本誌・野村美絵)

※週刊朝日2019年3月1日号