おばあちゃんと従弟の“幸せな時間” 写真集が訴えかけるものとは? (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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おばあちゃんと従弟の“幸せな時間” 写真集が訴えかけるものとは?

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朝山実週刊朝日

吉田亮人(よしだ・あきひと)/1980年、宮崎県生まれ。京都市在住。30歳を前に小学校の教員を辞めて写真家に。バングラデシュの肉体労働者を取材し、私家版写真集として2014年に『Brick Yard』、16年に『Tannery』を出版 (撮影/横関一浩 東京都墨田区のRPSギャラリーで)

吉田亮人(よしだ・あきひと)/1980年、宮崎県生まれ。京都市在住。30歳を前に小学校の教員を辞めて写真家に。バングラデシュの肉体労働者を取材し、私家版写真集として2014年に『Brick Yard』、16年に『Tannery』を出版 (撮影/横関一浩 東京都墨田区のRPSギャラリーで)

 縁側で若者が白い歯をのぞかせ、居間にいるおばあちゃんが目を細めて笑うモノクロの写真がいい。『吉田亮人写真集 The Absence of Two』(青幻舎・3800円※税抜)に収められている。

「ばあちゃんは、いつも学校から帰るのが遅いとか、孫に文句を言いながら、うれしそうにしている」

 登場人物は、吉田さんの母方の祖母の雪見さんと、孫で吉田さんの10歳下の従弟の大輝さん。ほとんど家の中にいる二人だけを撮影した写真集なのに、奇妙な既視感がある。インタビューの初め、自身の家族のことを話し続けてしまう自分がいた。吉田さんは「うんうん」とうなずきながら耳を傾けてくれた。

 この写真集を見た人から同じように話しかけられることがあるという。「これは僕の家族の私的な写真なんだけど、見た人のバックグラウンドによって物語が変容し、心に刻まれていくんでしょうね」

 今回の取材は、本書の製作過程を展示する都内のギャラリーで行った。2017年に編んだ私家版の20種類近いダミー本も手にとることができ、試行錯誤の過程に引きこまれた。

「僕の実家は宮崎で中華料理店をやっていて、子供の頃は祖父母の家でよく過ごしていたんです」

 祖父母と大輝さんの家は2世帯同居だった。大輝さんは学校に通うようになってから、祖父母の部屋に勉強机を持ち込み、そこで寝起きするようになった。

「11年に里帰りしたとき、たまたまカメラを持っていたので何枚か写したんです」。その写真は本書にも載っている。外出前、鏡を手にした祖母の傍らで、大輝さんが髪を触っている。二人ともまだ若々しい。

 吉田さんは自宅に帰ってこの写真を見返した際、「なんやこの二人は(笑)。まだ二十歳になるかならないかの青年が、こんなにいとおしそうに祖母の髪を触っている。何だろう、この感じは?」と惹きこまれ、時間を作っては撮影のために帰省するようになった。吉田さんが小学校の教員を辞め、写真家になろうとしていた時期でもあった。


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