工藤監督は中継ぎ枠をうまく生かして、翌年以降の飛躍につなげるのがうまい。投手出身の監督ならではで、大卒・社会人で1軍レベルの球を投げているのであれば、1軍の試合で投げさせたほうが、課題を見つけやすい。先発タイプだからと、ずっと2軍のローテーション投手として投げていると、その環境に慣れてしまうことだってある。

 10日には巨人の紅白戦を見た。ドラフト1位の高橋(八戸学院大)が先発したので注目したが、この時期とはいえ、もう少し直球のスピードと変化球のキレがほしい。ちょうど合同自主トレを経てキャンプも10日が経過。疲労も考慮して力をセーブしながら投げているのなら問題はないが、今のままでは公式戦では苦しい戦いとなる。実際、対戦した打者13人で空振りはなかった。

 巨人はFAで丸と炭谷、オリックスから中島など野手を積極補強したが、投手は救援陣が未知数で、逆算ができない状況だ。原監督が高橋をどのように起用しながら育てていくのか。先発の開幕ローテーションに入れなくても、1軍で使いながら成長を促すのか、その点にも注目したい。そして、野手も若い選手に躍動してもらいたい。坂本、丸、若いけど主力の岡本がこの時期に目立っているようでは駄目。バックアップが厚くならないと長いシーズンは戦えない。

週刊朝日  2019年3月1日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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