「一緒に暮らしていても、キャッシュカードの暗証番号までは知らない人が多い。資産にかかわる大事な情報は、信頼できる家族に伝えておくとよいでしょう」(相続コーディネーターの曽根恵子氏)

 相続に詳しい佐藤和基税理士は、遺族間でもめないよう注意点があるという。

「故人の口座からお金を引き出す場合は、トラブルを避けるため、何にどれだけ使ったかを細かく記録しましょう。領収書も取っておくべきです」

Q4:カギのかかった金庫は開けてもいいの?

A:「開けても問題はありません。遺族ら複数人の立ち会いのもとで確認するとよいでしょう。むしろ金庫の中に何が入っているのか、早めに確認しておくべきです。お金があれば、遺産の分け方も変わってきます。相続税の納税後に財産が見つかると、申告漏れにもなりかねません」(佐藤税理士)

 自宅の金庫だけでなく、金融機関の貸金庫も確認しておきたい。ある場合は、銀行の口座から手数料が定期的に引き落とされているので、通帳をチェックする。

Q5:葬儀費用は補助してもらえるの?

A:故人が国民健康保険や企業の健康保険組合などに加入していた場合、葬祭費や埋葬料を請求できる。支給額は数万円程度で、自治体や勤務先によって異なる。

 生命保険などと同じように、これも申請しなければもらえない。葬儀の翌日から2年以内など、請求期限もある。葬儀にかかった費用の領収書など、求められる書類もそれぞれで異なるため、自治体や勤務先に問い合わせてみよう。

Q6:自筆の遺言を見つけた。開けてもだいじょうぶ?

A:本人が書いた「自筆証書遺言」の場合、勝手に開封してはいけない。そのまま家庭裁判所に持っていき確認してもらう、「検認」の手続きが必要だ。

「もともと封がされていない遺言であっても、検認は必要になります」(曽根氏)

Q7:自筆証書遺言はパソコンで書けるの?

A:遺言には3種類ある。自筆証書遺言のほか、2人以上の証人の立ち会いのもとで公証人に確認してもらう秘密証書遺言、話す内容をもとに公証人が作成する公正証書遺言だ。上の表「遺言の種類と違い」を見ればわかりやすい。

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