この映画について、こう見てほしいとかは、ないんです。自由な受け取り方をしていただきたい。男性か女性かによって受け取り方は違うと思うし、白黒はっきりした作品ではないので。そして、生きていくうえで見た方の何かしらプラスになればいいなと思います。

──稲垣さんが新しいスタートを切ってから約1年半です。どんな時間でしたか。

「愛に包まれた時間でした」と以前同じ質問をされたときに答えたんですが、本当に充実したいい時間でした。昨年は、公開前のものを含めて映画3作品、舞台は2作品に参加したんですけど、俳優として自分の描いていた未来に、だんだん近づいてきていると思うんで。この気持ちを忘れずにやっていきたいです。実際、まだまだこれから。やりたい作品、一緒にやりたい監督、俳優さん、いっぱいいます。オファーされるものを、一つひとつありがたく受け取って、もっともっといろんな場で表現していきたい。意欲的な自分が存在しています。

──一つのことより、いろいろなものをやってみたい?

 そうかもしれないですね。僕、キャリアの割に個人としての映画作品数は少ないと、自分では思っているんです。やっぱりグループとしての仕事を、すごく重点的にやってきたので。恵まれていたとは思うんですけど、やっぱり映画が好きですし、もっと数多くやっていきたい。そして2019年を、さらにいい一年にしていきたいです。

 今、俳優として「いい時期」だと思うんです。いろいろな広がりを見せられる年齢だと思う。そこは期待していただきたいです。どんどん作品に出て、それを見たクリエイトしている人、監督や演出家、作り手に「次、起用したい」と思ってもらえる、アンテナにひっかかる人間になりたいですね。

(構成/本誌・工藤早春)

週刊朝日  2019年2月22日号より抜粋