帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
※写真はイメージです (c)朝日新聞社
※写真はイメージです (c)朝日新聞社

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のタイトルは「太陽に対面する」。

*  *  *

【ポイント】
(1)朝日を浴びることでセロトニンを分泌
(2)内モンゴルの日の出で感じた大自然の摂理
(3)太陽に対面して思いにふけってみようニンニクは認知症予防の強い味方になる

 大脳の前頭前野から分泌される脳内伝達物質にはドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンがあります。それぞれに独自の働きを果たしていますが、なかでも全体を統率する働きをしているのがセロトニンです。ですから脳を活性化するには特にセロトニンが重要なのです。

 セロトニンをしっかり分泌させるためには、いくつかの方法があるのですが、そのひとつに朝日を浴びることがあります。

 実は朝日というのが重要なのです。朝のぼる太陽の照度がちょうどよくて、日中の太陽光では、セロトニンの分泌には強すぎるというのです。

 陽明学者の安岡正篤先生は、日の出とともに起きて、庭の花に水をやるというのを日課にしていたそうですが、それこそが、セロトニンの分泌には一番いいのです。画家の岡本太郎さんも日の出が好きだったそうです。毎朝、のぼる太陽にむかって「芸術は爆発だ!」と叫んでいたのかもしれません。

 私自身は、まだ暗いうちに病院に入ってしまうので、日の出と対面することはあまりありません。土日の出張前には都内のホテルに宿泊することがあり、朝食をとるためにロビーに下りるときに、朝日に遭遇します。ビルの谷間に顔を出す太陽を拝むことができるのです。そんな時は、思わず「延命十句観音経(えんめいじっくかんのんぎょう)」が口から出てきます。

「観世音(かんぜーおん) 南無仏(なーむーぶつ) 与仏有因(よーぶつうーいん) 与仏有縁(よーぶつうーえん) 仏法僧縁(ぶっぽうそうえん) 常楽我浄(じょうらくがーじょう) 朝念観世音(ちょうねんかんぜーおん) 暮念観世音(ぼーねんかんぜーおん) 念念従心起(ねんねんじゅうしんきー) 念念不離心(ねんねんふーりーしーん)」

著者プロフィールを見る
帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

帯津良一の記事一覧はこちら
次のページ