「これまでは買い物でポイントを与えることが中心でした。これからは信用スコアが社会の根幹になり、支払い能力などで個人を数値化し、格付けする時代になるのです。中国ではすでに進んでいます」

 いままでの信用スコアは、借りたお金をきちんと返済しているかどうかといった、狭い範囲で判断していた。キャッシュレス化によって、個人の生活を包括的に分析でき、スコアの精度は高まる。評価が低い人は、お金を借りられないだけでなく、就職や転職などで不利になる可能性もある。

 中国ではネット通販大手のアリババグループが、信用スコアのサービスを2015年に開始。数段階のゾーンに分類、高い人ほどいろいろな特典を受けられる。

 日本でも、ヤフーやLINE(ライン)、メルカリといったIT関連企業が信用スコア事業に力を入れる。いつ、どこで何を買ったのかなどの情報が蓄積され、個人の好みや性格まで分析できるようになる。

 最近、ポイントカード運営会社などが、利用者の個人情報を捜査当局に任意で提供していることが発覚。裁判所の令状がなくても、警察などは個人の生活を監視できるのだ。

 消費増税で、キャッシュレスが浸透するのは間違いない。超監視社会はすぐそこまで来ている。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2019年2月22日号