閉経後の中高年女性に多い「変性すべり症」については、除圧術または固定術のどちらをおこなうか、医師の間で議論が分かれている。

「疫学(病気の原因や予防などを研究する学問)では、変性すべり症は自然に治る病気だとわかっています。つまり最終的に変性すべり症は安定するのです。しかし、痛みや腰の不安定性が治まる期間には個人差があり、5年だったり10年だったりします。その間の腰痛は除圧術では改善されないので、固定術が選択されるケースもあります」(同)

■背骨の専門医がいる病院の選択を

 手術を受ける際、病院はどのように選んだらいいのか。三原医師は「これまでに経験した手術数や種類、脊椎や脊髄(背骨の神経)の病気に対する知識などの要件を満たした医師がこの分野の専門医として認定される制度がある」と話す。

「日本整形外科学会の認定脊椎脊髄病医、日本脊椎脊髄病学会(整形外科医が中心)が定めている指導医、日本脊髄外科学会(脳神経外科医が中心)が定めている認定医と指導医があり、それぞれ公式サイトで確認することができますので、お住まいの近くでこれらの専門医がいる病院を選ぶといいでしょう。とくに2人以上の指導医・認定医がいる病院はレベルが高いと思います」(三原医師)

 また、術後にとりづらくなる姿勢、しづらくなる動作、合併症のリスクについても確認しよう。合併症の一つに、創部(手術でできた創の部位)に細菌が入って膿がたまり、発熱や痛みを生じる術後感染症がある。その発生率は1%以下が目安だ。各病院で予防策が徹底されているが、発生を0%にするのは難しい。

 高齢者や糖尿病などの持病がある人はリスクが高まるので、どう対策がとられているかも聞いておきたい。

 術後は、年齢や術式には関係なく誰もがリハビリテーションを受ける必要がある。スクワットや背筋、腹筋などの体幹筋強化運動がすすめられている。

◯横浜南共済病院整形外科部長脊椎脊髄センター長
三原久範医師

◯和歌山県立医科大学病院整形外科主任教授
山田 宏医師

(文/小久保よしの)

※週刊朝日2月15日号から