「この世に一人もいないっつーの、誰にも必要とされない人間なんて」

 遊川和彦脚本のドラマには、いつも壊し屋が現れる。「女王の教室」(日本テレビ系)では、学校という秩序や常識を破壊する教師(天海祐希)。

「家政婦のミタ」(日本テレビ系)では、家庭という馴れ合いや固定観念を破壊する家政婦(松嶋菜々子)。

「純と愛」(NHK総合)なんてもう、脚本家自身が朝ドラという概念をぶち壊していた(ヒロインの夢はすべてかなわないし、誰も幸せにはならない)。

 当たり前だと思うことを壊さない限り、未来は手に入らない。そんな遊川ドラマ。ちなみに今回の志田未来の役名、「女王の教室」で彼女が演じた生徒と同じ読みなのだ。テスト中、女教師にトイレに行くのを禁じられ、廊下で失禁してしまった小学生、神田和美。

 大人になっても、相変わらず自分に自信を持てずに、愛想笑いするお人好しだ。あんな破壊的鬼教師に生き方改革されたのに、全然成長してない。

 結局、人間変わらないってこと? またも破壊占い師にぶっ壊されなきゃダメだってこと? 何の因果か、遊川ドラマで壊され続ける志田未来。なんか不憫。

週刊朝日  2019年2月15日号

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カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ

カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など。

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