「与党で過半数という勝敗ラインをクリアすることで、安倍氏は首相の座に居座り続けるでしょう。政権信任選挙の参院選で議席を減らせば、続投したとしても求心力が減殺される。安倍政権は落日の太陽で、レームダック化が進む。党内はポスト安倍に向けてジワリと動き出すでしょう」

 ただ、自民苦戦の予想も、あくまで野党共闘が機能することが前提。実際は野党の足並みは心もとない状況が続いている。立憲の枝野幸男代表は「永田町の数合わせにはくみしない」などと発言し、国民の玉木雄一郎代表と対立。主導権争いを演じており、野党は1人区の候補者調整が遅れている。

 選挙プランナーの三浦博史氏はこう語る。

「選挙協力にリーダーシップを発揮しようとしない枝野氏の姿勢を見ていると、野党で大きな塊を作ろうという強い意思が感じられない。岡田克也氏が両党の接着剤になろうと考えているかもしれませんが、亀裂はますます深まっているように見えます」

 前回の衆院選では、民進党が希望の党に合流して野党が分裂したが、またしても野党同士でいがみ合って自滅しようというのか。

 国民との統一会派結成に動いた小沢氏も苛立ちを隠せないが、前大阪市長の橋下徹氏にも秋波を送る。

 小沢氏は1月31日に玉木氏、橋下氏とインターネットテレビにそろって出演。収録後、玉木氏は報道陣に対し、橋下氏と定期的に接触していることを明かした。

「安倍さんの後は(橋下氏の政界復帰など)いろいろあるのではないか。安倍さんには刃向かわないけど、自民党には刃向かうという感じ。やるなら強い野党としてガンとやる印象でした」

 安倍自民は苦戦が予想される参院選に備え、着々と“サプライズ”を準備しているという。政治評論家の小林吉弥氏が指摘する。

「天皇の即位が終わった6月初旬に内閣改造をやる可能性がある。そこで失言問題の桜田義孝五輪担当相と、政治資金をめぐる疑惑が表面化した片山さつき地方創生相を整理する。改元後のニュー内閣として、小泉進次郎氏を入閣させることも考えられる」

(本誌・亀井洋志、上田耕司、田中将介)

週刊朝日  2019年2月15日号より抜粋

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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