甘えん坊のコツメカワウソは、しっぽの先や指をおしゃぶりすることも。まるで人間の子どものようなしぐさをみせる(撮影:岩下明日香)
甘えん坊のコツメカワウソは、しっぽの先や指をおしゃぶりすることも。まるで人間の子どものようなしぐさをみせる(撮影:岩下明日香)
小さな穴から手を出して握手をしてくれる。コツメカワウソは、川辺に住み、石の隙間に潜り込んだカニをエサにしているため、狭いところに手を突っ込む習性がある。珍しいアルビノ種で毛が白い(撮影:岩下明日香)
小さな穴から手を出して握手をしてくれる。コツメカワウソは、川辺に住み、石の隙間に潜り込んだカニをエサにしているため、狭いところに手を突っ込む習性がある。珍しいアルビノ種で毛が白い(撮影:岩下明日香)
「コツメイト」のコツメカワウソ。5本指に粒のような爪が生えている(撮影:岩下明日香)
「コツメイト」のコツメカワウソ。5本指に粒のような爪が生えている(撮影:岩下明日香)

 コツメカワウソを密輸していた男らが外為法違反(無承認輸入)の疑いで警視庁に逮捕された。

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 東南アジア原産のコツメカワウソは、国内では動物園や水族館でしか見ることができなかった。だが、テレビ番組に取り上げられたことで話題を呼び、ペットとして飼われている姿がSNSなどで紹介されるなど、その愛くるしいしぐさから人気に火がついた。

 同時に密輸も横行するようになった。昨年6月、小動物と触れ合う「コツメイト」(東京都豊島区)を営む、代表の長安良明さんの元に1本の電話がかかってきた。

「毎週のようにコツメカワウソが入ってくる。何頭か買わないか」

 電話の主は密輸業者だ。

「3頭連れてくると言っていましたが、現れた男は赤ちゃん2頭を売り込みに来ました。1頭は死んだとのこと。2頭も瀕死の状態でしたから。問い詰めると、密輸だと白状したのです」

 これが逮捕につながった。
 コツメカワウソを取り扱うあるペットショップでは、1頭約140万~約160万円で取引されている。高額だが、問い合わせは多く、予約を入れて入荷を待っている客もいるそうだ。

 コツメカワウソは、絶滅の恐れがある種とされ、ワシントン条約で輸出許可が必要な動物に指定されている。だが、いったん国内に入ると、密輸なのか、国内で繁殖されたのか判別しにくいという。

 なかには「国内ブリード」をうたい、密輸の隠れみのとしているケースもあるようだ。

「現状、コツメカワウソの繁殖は、動物園でないと難しく、もし『国内ブリード』であれば、動物園からの販売許可証があるはずです。またはワシントン条約の書類が親のカワウソにあるはずです。それらの書類が提示できなければ、密輸が疑わしいでしょう」(長安さん)

 インドネシアから正規ルートを通過するコツメカワウソの首元には、マイクロチップを埋め込んで管理され、寄生虫予防の投薬などを済ませてから輸出される。

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