林:このあいだ男友達の誕生パーティーがあって、女の人は料理をつくって持っていったんですけど、みんな料理なんかつくらない人ばっかりで。某女子アナの人は、市販のちらしずしの素とごはんを混ぜて、その上に買ってきた錦糸玉子をのせただけだったり、元タカラジェンヌの人はその日の朝に焼いた、冷たいお好み焼きを持ってきたり(笑)。

有元:アハハハ。だけど楽しそう。真理子さんは何をおつくりになったの?

林:私はつくり慣れたハンバーグにしたんですけど、一晩かけてデミグラスソースをつくったら、それが失敗して焦げ臭くなっちゃって(笑)。肉もいつもの安い牛肉じゃなくて、紀ノ国屋に行って高級牛肉を買ったんですけど、これが脂がなくてぜんぜんおいしくなくて、もうさんざんでした(笑)。

有元:やっぱりハンバーグはおいしい脂がついてるお肉じゃないとね。

林:私、料理上手になりたいなと思って学校にも行ったんですが、中途半端なまま今日まで来てるんです。

有元:どんな学校にいらしたの?

林:ル・コルドン・ブルー(高級フランス料理を教える料理菓子専門学校)です。

有元:あら、それはふだんのごはんとはあんまり関係ないわね。そういう料理は、外に食べに行けばいいんじゃないですか?

林:そうなんですけど、どうせ習うなら、と張り切りすぎたんです(笑)。あれだけお金使って、キッシュだけ焼けるようになりました。つくり方忘れちゃいましたけど(笑)。

有元:人によってですけど、自分に合っているものとか、食べておいしいなと思えるものって、私は自分でつくるしかないと思ってるんです。高価な材料じゃなくても、旬のものや気持ちを込めてつくられたものを選ぶ。それが、どうやってつくられて、どうやってここまで来たかとか、そういうことがきちんとわかっているものがいいと思うのね。わからないものはあんまり食べたくない。

林:無添加とか、そういうことにもこだわってらっしゃるんですか。

有元:いや、無添加とか無農薬がいいとは一概に言えないような気がするんですよね。肥料をあまり与えないと、やっぱり出来は悪いですよ。お米にしてもお野菜にしても、化学的な肥料じゃなくて、自然の草を発酵させたものが入っている肥料とかでつくられた野菜って、すごくおいしいのね。そういうお野菜だと、いろんなことをしなくていいんです。サトイモだったら、きれいに洗って蒸してお塩やお味噌をつけて食べるとか、それがいちばんおいしい。

(構成/本誌・松岡かすみ)

週刊朝日  2019年2月8日号より抜粋

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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