田原:国民は上げたくない。バラマキを望んでいる。

橋下:いや、国民の判断として、いま消費税を上げるべきではない、というのは賢明だと思います。

田原:将来も上げるべきではないと?

橋下:そうではないです。僕は大阪で改革をやりましたが、日本の国民は政治がきちんと負担を求めれば応じてくれます。しかし政治もギリギリまで身を削る必要があります。

田原:じゃあ、なぜ、大阪都構想で失敗したんだ。

橋下:それは僕が、やっぱり嫌われていたからですよ。

田原:なんで嫌われたの。

橋下:僕の人間性です。

田原:僕は橋下さんを信用している。大阪でなぜ、嫌われたの?

橋下:大阪だけじゃなく、全国でそうです。メディアと喧嘩するからでしょ。

田原:喧嘩したっていいじゃない。

橋下:いいと思いますけど、メディアは連日、大阪都構想の問題点ばかりをあげつらってきたわけです。今の大阪府と大阪市の仕組みにも問題点は山ほどあるんだから、大阪都構想と今の府市の体制の両方を比較してどっちがよりマシなのかをしっかりと有権者が選択できるような情報提供をやってくれと言ったのに、比較優位の議論という視点がメディアにまったくなかった。それから、僕の政治スタイルですけども、住民投票前にバラマキをやらなかった。僕は大阪で70歳以上の高齢者の地下鉄・バス利用が全部無料になるようなパスにも負担を求め、現役世代に税投入をどんどんシフトしました。改革の手を緩めなかったことが、仇になりました。

田原:メディアは権力を批判すればいいと思っている。

橋下:そこを変えないと、先ほどの消費増税も国民はついてこないと思う。

田原:なんで?

橋下:日本の国会議員の給料は世界各国の中でもべらぼうに高い。約2200万円。給料以外にも文書通信交通滞在費という年に1200万円の現金が支給されている。さらに各党の政党交付金から年約1300万円。政治家がそんなにぬくぬくの生活をしていたら、官僚だって襟を正さないです。天下りの現状を見てくださいよ。こんな状況で消費税を上げろなんて、国民は受け入れられないです。

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