「新テストを意識し、日本史Bで会話形式の問題、英語で実践的なコミュニケーション能力を問う問題、生物基礎で実験に基づいて考察する問題などが継続して出題されましたが、目新しい出題はなく、平均点が上がったのだと考えられます」

「データネット」「センター・リサーチ」の志望校データで、人気を集めたのはどの学部か。駿台の石原さんは、法学部が人気だという。

「文系では京都大、大阪大、名古屋大の法学部が特に人気を集めています。法学部はこのところ不人気が続いたことで、相対的な難易度がダウンしました。このため、人気がアップしていた経済・経営・商学部系から流れてきたのではないかと分析しています」

 理系は前年並みで、模試では前年比が90%台だった医学部は、データネットでは前年比97%で人気が戻ってきているという。

「旧七帝大に一橋大、東京工業大、神戸大を加えた『難関10大学』は微減です。受験生の安全志向が強く、比較的入りやすい北海道大、神戸大の志願者が増えています」(石原さん)

 どうやら浪人を嫌う傾向にあり、安全圏で入試に臨みたいようだ。

 河合塾の神本さんは、「文系では昨年人気だった経済・経営・商学系統の志望者が減って、法学系の志望者が増え、理系では、工学部の情報系が人気です」と語る。

 2次試験の出願受付は2月6日まで。毎年、志願者の動向をみながら、ギリギリに出願する受験生もいるが、河合塾の神本さんは、動向を気にせずに第1志望や問題との相性がいい大学を受けることを勧める。

「動向をみて志望変更する受験生は、成績上位層ではありません。今年は、2次試験までの期間が昨年よりも1週間ほど短く、悩む時間はありません。早めに出願し、気持ちを切り替えて勉強することが大切です」

 精神科医で緑鐵受験指導ゼミナール監修の和田秀樹さんは、大学選びで迷ったときには、各大学の過去問を解くことを勧める。

「偏差値や合格可能性だけで決めるのではなく、入試問題との相性、得意科目や苦手科目の配点比率などで決めることが重要です。それぞれ1年分を解き、合格最低点と自分の得点をチェックし、受験する大学を決めましょう」

(庄村敦子)

週刊朝日  2019年2月8日号より抜粋