鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中
鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中
※写真はイメージです
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 放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は鈴木氏が中学時代に先生に一度だけ殴られた経験をつづる。

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 生徒に挑発された教師が生徒を殴ったニュースを見て思う。40代以上の男性で、過去、学校の先生に殴られた経験のある人って何人くらいいるのだろうか?

 僕は中学1年のときに一度ある。僕のクラスではいじめがあった。A君という男子がいつの間にかいじめられていることに気づいた。休み時間、プロレスごっこ風だが、明らかにA君が一方的にやられている。倒れたA君の上にどんどん人が乗っていく。肉体的なことだけではなく、A君を無視したりする生徒も出たりして。そして、ある生徒は、休み時間、A君の机の上に、バケツを持っていき、鉛筆でバケツをたたき、葬式ごっこを始めた。A君が泣いていた。僕は学級委員長だったが、いじめを止めることもできず、一緒に笑っていた。

 最悪だ。いじめはしばらく続いた。担任の先生は女性だった。多分、どこかで気づいたと思うが、自分では止められないと思ったのだろう。ある日突然、別のクラスの男性教師、B先生が、教室にやってきた。顔つきが違う。「男子生徒、全員、職員室に来い」

 行くと、他の先生は誰もいなくて、A君だけがいた。おそらく担任の先生か誰かがB先生にA君のいじめのことを相談し、怒ったB先生が僕らを職員室に呼び出した。B先生は「お前ら、Aのこといじめてたらしいな」と怒鳴った。そして、B先生はノートを出した。そこには、A君に事情聴取したことが書かれていた。誰にどんないじめをされたのか書いてあった。B先生は「おさむ、来い」と言って、最初に僕を呼んだ。

 何をされるんだろうと思って、ドキドキした。B先生は言った。「お前、学級委員長だろ?」と。僕は恐怖のあまり「僕はいじめてません」と最低のことを言った。すると、B先生は「学級委員長でありながら、いじめを見過ごしてるのが一番の罪だろうが」と言って、僕の右頬を激しい力で一発殴った。

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鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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