「約10年前、法定後見で私が初めて成年後見人を引き受けた方は、認知症で病院のベッドに寝たきりの状態でした。言葉を発することができず、持っている財産のことも聞けない。子どもがおらず、遺産の残し方などのご希望があったかもしれませんが、わからないままでした。元気なうちに自分の思いを伝えることの大切さを痛切に感じました」

 まずは自らの不安を整理し、どんな対応策があって、だれに相談すべきかを知る。すると、より心穏やかに毎日を過ごせるのではないだろうか。(本誌・中川透)

■遺言がない場合の法定相続のルール
○配偶者は、常に相続人。配偶者以外は、以下の順に配偶者と相続
○第1順位は、子(直系卑属)。子が死亡していれば、その子や孫
○子がいないと、第2順位は、親(直系尊属)。死亡していれば、その親
○子や孫、親もいない場合の第3順位は、兄弟姉妹(傍系血族)。兄弟姉妹が死亡していれば、その子(おいやめい)
○配偶者と子の相続は、配偶者と子がそれぞれ2分の1
○配偶者と親の相続は、配偶者3分の2、親3分の1
○配偶者と兄弟姉妹の相続は、配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1
○子・親・兄弟姉妹が複数いれば、均等に分ける

週刊朝日  2019年2月8日号より抜粋