いずれもフラップ手術で歯周プラークや歯石を取り除いた後の歯根に塗布します。

 どの治療においても、歯ぐきを元に戻した後は縫合し、その歯が動かないように矯正治療で使うワイヤなどで固定することもあります。食事の際もできるだけ治療した歯を使わないように安静にしていただきます。

 患者さんにより、効果がでるまでの期間には差がありますが、いずれの治療も半年くらいで骨が再生されます。

 こうした点では効果は変わりませんが、保険で行う場合は歯周病の基本治療を実施した後からしか使えず、自費診療では初診で来てすぐに使えるなどの違いがあります。なお、基本的には歯周基本治療をしっかりと行った結果、歯周ポケットが改善されないときに歯周再生療法を実施するべきでしょう。

 ただし、歯周再生療法が効果的なのは骨に部分的に小さな穴が開いているようなケースです。骨が多く失われている、骨が水平に失われている、歯のゆれがひどい、といったケースには効果は期待できません。

 セカンドオピニオンでやってくる方の中には、

「再生治療で骨が戻るといわれてやったけれど、ダメだった」

 という患者さんがしばしばいらっしゃいますが、たいていの場合、適応に問題があるケースです。もちろん、加齢や病気の影響などで、適応があっても期待したほど効果が得られなかったというケースもあります。

 このようなことにならないためにも、治療前には主治医に、期待できる効果についてきちんと確認することが大事です。また、治療は歯周病の専門医であれば誰でもできますが、技量の差はあります。例えばエムドゲイン法では薬を塗布し、歯ぐきを戻すときに歯ぐきの量が十分でないと治療効果が上がりません。薬は歯ぐきですっぽり包み込むことが大事だからです。

 このため、フラップ手術をていねいにおこない、歯ぐきを十分に残すことが大事です。さらに、再生治療が必要になりそうだと予測できる患者さんには、基本治療時に歯根の表面を過度に削りすぎないことなど、テクニックを熟知していることも重要です。この点についてもざっくばらんに聞いてみましょう。

◯若林健史(わかばやし・けんじ)歯科医師。若林歯科医院院長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事、日本臨床歯周病学会副理事長を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演

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若林健史

若林健史

若林健史(わかばやし・けんじ)。歯科医師。医療法人社団真健会(若林歯科医院、オーラルケアクリニック青山)理事長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演。AERAdot.の連載をまとめた著書『なぜ歯科の治療は1回では終わらないのか?聞くに聞けない歯医者のギモン40』が好評発売中。

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