渡航費がかかる点や、仕事を長期で休む点などを比べると、海外観戦よりもはるかに気軽な国内観戦なら、初心者が「今こそ!」と参戦したくなる気持ちもわかる。

 普段から転売サイトを利用せず、ファン仲間とチケットを譲り合ったり、国内をあきらめて海外に観戦しに行ったりするというこの女性。意外にも狙い目なチケット入手方法を教えてくれた。

「(公式サイトでは)一般三次販売までされていますが、見切れ席や当日券の販売があるかもしれません。見切れ席は大会直前に先着で販売されて、転売目的の購入が少ないので、一般販売より取りやすい場合があります。大穴は当日券。販売がある場合、朝から並んでもB席しかなかったのに、試合が進んで最終グループの6人になった時点でチケットブースに行くと、招待客がキャンセルしたチケットなどで、偶然(よりリンクに近い)S席を入手できる場合もあります」

 最終の6人のみとなると30分にも満たない演技時間に2万円近くをつぎ込むことになるが、「お目当ての選手が見られるならいい」というファンにとっては、選択肢の一つになる。

 今大会の目玉は、やはり4カ月ぶりに大会リンクに舞い戻る羽生結弦。右足首のけがで昨年12月の全日本選手権は欠場したが、11月のグランプリシリーズでは世界最高得点をたたき出しており、優勝候補として期待を寄せずにはいられない。

「現在の日本のフィギュアスケートファンは、だいたいが羽生ファンでしょう。羽生は最近日本で見られるチャンスが少ないので、転売サイトでチケットを買うのはほとんど羽生ファンでしょう。羽生はアジアの近隣国にも人気があるので、中国人が高値で購入するということもあるかもしれません」(前出の女性)

 平昌冬季五輪で成し遂げた偉業から1年。けがを乗り越え、さらなる進化を遂げた王者の舞を、世界中のファンが心待ちにしている。

「次の日本開催の世界選手権はおそらく4,5年後になるでしょうから、日本開催の世界選手権で羽生が見られるのは最後かもしれません」(同)

 となれば、にわかだろうとベテランだろうと、羽生ファンなら是が非でも会場で演技を拝みたい!? チケット争奪戦に、さらなる拍車がかかりそうだ。

(本誌・緒方麦)

※週刊朝日オンライン限定記事