書店には、様々なエンディングノートが並んでいる (c)朝日新聞社
書店には、様々なエンディングノートが並んでいる (c)朝日新聞社
エンディングノートに書いておくべきこと (週刊朝日 2019年1月25日号より)
エンディングノートに書いておくべきこと (週刊朝日 2019年1月25日号より)
書き込み式 死後の手続きチェックリスト(1)1/2(公表資料をもとに編集部作成) (週刊朝日 2019年1月25日号より)
書き込み式 死後の手続きチェックリスト(1)1/2(公表資料をもとに編集部作成) (週刊朝日 2019年1月25日号より)
書き込み式 死後の手続きチェックリスト(1)2/2(公表資料をもとに編集部作成) (週刊朝日 2019年1月25日号より)
書き込み式 死後の手続きチェックリスト(1)2/2(公表資料をもとに編集部作成) (週刊朝日 2019年1月25日号より)
書き込み式 死後の手続きチェックリスト(2)(もらえるお金・落ち着いてからの手続き) (週刊朝日 2019年1月25日号より)
書き込み式 死後の手続きチェックリスト(2)(もらえるお金・落ち着いてからの手続き) (週刊朝日 2019年1月25日号より)

 生前に故人の情報をできるだけ多く確認していれば、死後のさまざまな手続きも円滑に進む。死後の話をするなんて「縁起でもない」「不謹慎」と思われそうな場合、エンディングノートを使うとよい。市販品もあるが、取引先金融機関の口座や契約先の保険会社など、書くべきことはおおむね決まっている。

【エンディングノートに書いておくべきことはこちら】

『身近な人が元気なうちに話しておきたい お金のこと 介護のこと』(東洋経済新報社)著者で、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー(FP)の井戸美枝さんは「最近はネット取引の銀行や証券会社もあり、通帳とキャッシュカードのほかにもIDやパスワードも聞いておくほうが安心です。私の母は口座をメインバンクとゆうちょ銀行の二つに絞っていたので助かりました」と振り返る。

 実は、井戸さんの母に認知症の症状が出始めたころ、「このまま放置しては大変になる」と思って、口座を整理したという。ほとんど入金されていない10以上の口座を解約するため、母とともに銀行をハシゴした。不要なものは元気なうちに整理すれば、手続きはぐっと楽になる。

 多額の現金や自宅の登記簿などを保管するために貸金庫を持つ人もいる。契約していれば、家族に伝えておきたい。車や住宅のローンなど借り入れているお金があれば、残高を具体的に書く。残された人が「ほかに借金はなかったのか」と余計な心配をせずに済む。

 離れて暮らす実家の親の年賀状の保管場所は、知っているだろうか。故人が年賀状を誰とやり取りしていたかがわかれば、交友関係を知る手がかりになる。

 死後の手続きに詳しいFPの畠中雅子さんは「故人の交友関係がよくわからなかったため、誰に葬儀の案内を伝えたらよいのかわからなかったという声もよく聞きます。葬儀に来てほしい友人のリストは必ず作ってもらいましょう。弔辞を誰に読んでほしいかも含め、あらかじめ聞いておいたほうがよいでしょう」と話す。

 エンディングノートに忘れず書きたいのは、望む葬儀のスタイル。宗教によって、同じ仏教でも宗派によって、読経や作法などが違う。わが家はどの宗派なのか。遺族のためにもしっかりと書き残しておきたい。

 葬儀では、香典返しに家紋入りのカードを送るケースもある。家紋があれば、ノートに書き加えるとよい。SNSなどをやっている人は、IDやパスワードも記しておこう。

 終活の準備というと、まだ先のことと感じたり、何から手をつけるべきかと身構えたりするかもしれない。一度にすべてを書こうとしないで、最優先の部分から少しずつ書いていくのがポイントだ。葬儀を託す、財産を残す家族と一緒に、実際の手続きを思い描きながら書くと、意見の食い違いも防げそうだ。残された家族が困らないためにも、ひとつずつクリアしたい。(村田くみ)

週刊朝日  2019年1月25日号より抜粋