また消費者が販売者になれるヤフオク!、メルカリなどの出現で中古市場が活性化し、平成の名品が消えていったという分析もある。

「消費者は自分が使わなくなったものを売ることができるようになった。売れるかどうかというのを想定して買う、つまり仕入れも含めた消費を謳歌し始めた。もう一つは、モノ消費、コト消費の次の消費スタイルであるトキ消費。ものを持つ所有そのものよりも、ものを使って、どんな体験をするか、今そこにしか生まれない『トキ』に価値を感じる。例えば、渋谷のハロウィーンのような、参加することによって盛り上がりを見せ、それに貢献していることが喜びになる」(夏山氏)

 平成時代に流行を生み出したものの、ブームが過ぎ去ったことで倒産した会社も幾多ある。東京商工リサーチの原田三寛氏は、企業分析の観点からこう話す。

「大手プリクラメーカーが去年倒産し、負債総額が約21億円あって、業界では話題になりました。ピークだった12年は売り上げが約70億円あった。今は他の会社の傘下となっていますが、ほかにも、ルーズソックスを販売していた会社や、長崎屋、そごうなどブランド品などを扱う百貨店などの倒産・破産が相次いだ。消費マインドも昔ほど盛り上がらない中で、不動産を持ち、過大な設備投資で経営していく手法に限界がきた。どこの会社にも共通して言えるのは、名品の一本足打法に胡坐(あぐら)をかくのは危険だということ。名品を改良し続け、次の時代のサービスにバトンタッチできるかを絶えず考えることが大事です」

 生き残りをかける企業は、消費者のニーズを正確に捉えるほかない。(本誌・田中将介)

週刊朝日  2019年1月25日号より抜粋