2015年9月19日、W杯で日本対南アフリカ戦のグラウンドに立った岡田虎哲くん(当時12)。背後に並ぶのは南ア代表の選手たち
2015年9月19日、W杯で日本対南アフリカ戦のグラウンドに立った岡田虎哲くん(当時12)。背後に並ぶのは南ア代表の選手たち
マッチボールデリバリーキッズに選ばれた岡田虎哲くん(当時12)。イギリス・ブライトンの試合会場でも、各国から訪れた観客にアンケート取材に挑戦
マッチボールデリバリーキッズに選ばれた岡田虎哲くん(当時12)。イギリス・ブライトンの試合会場でも、各国から訪れた観客にアンケート取材に挑戦
マッチボールデリバリーキッズへの応募時に提出した自由研究「ラグビー人気復活」を手にする、15歳になった岡田虎哲くん。当時のアンケート結果には「イケメン選手を出す」という回答も多かったそう
マッチボールデリバリーキッズへの応募時に提出した自由研究「ラグビー人気復活」を手にする、15歳になった岡田虎哲くん。当時のアンケート結果には「イケメン選手を出す」という回答も多かったそう

 国際的なスポーツの試合では、入場の際、選手とともに子どもが出てくることが多い。あの場に立てるのはいったいどんな子どもたちなのか。

【写真特集】試合だけじゃない!英国に学ぶ「W杯を楽しむ方法」をご紹介

 今年9月から国内12会場で開催されるラグビーワールドカップ(W杯)日本大会では、試合ボールをグラウンドに運ぶ子どもを20人、一般公募するという。W杯をサポートする国際輸送企業が行う「DHLマッチボールデリバリー」キャンペーンだ。

 2015年のW杯で日本中を沸かせた南アフリカ戦でボールを運んだのも、じつは公募で選ばれた日本人の少年だった。

 岡田虎哲(こてつ)くんは、当時12歳。500人を超える応募者のなかからたった一人選ばれた。いまは高校受験を控える15歳だ。応募の経緯を尋ねると、苦笑いした。

「母親が勝手に申し込んだんです。無理だと思っていたので、いやいや作文を書きました(笑)」

 応募に必要なのは作文と写真だが、併せて5年生の夏休みに取り組んだ「ラグビー人気復活」の自由研究も提出したという。どうすれば日本でラグビーがもっと人気が出るか、アンケートを取ったり人々にプレーを体験してもらったりしてまとめたものだ。本人は「まさか自分が選ばれるとは思わなかった。びっくりしました」と振り返る。

 15年9月、家族とともに渡英。ブライトンのスタジアムで迎えた日本と南アフリカとの一戦。3万人を超える観客が見守るなか、選手と一緒に入場し、国歌を斉唱、ボールをグラウンドの中央に置いた。「時間にすれば10分にも満たなかったと思うのですが、とにかく緊張しました」

 出番を待っているとき、なんとエディー・ジョーンズ日本代表監督(当時)が肩を叩(たた)いて話しかけてくれた。

「英語だったので、そのときはわからなかったんですけど、Japan will win、日本が勝つよ、って言ってくれていたそうです」

 その言葉通りになったことが、最も強く心に残っている。南アフリカは2度のW杯優勝経験を持ち、当時世界ランキング3位の強豪。歴史的な勝利だったのだ。

次のページ