「『肺兪』は『大椎(だいつい)』よりちょうど椎骨三つ分下で、背骨と肩甲骨の間を温めるとイメージしていただくといいと思います。『肺兪』は咳き込んだとき、咳をしずめるために刺激するツボとしても有名です」

 ほか、若林さんからの注意点は「東洋医学では肺は非常に乾燥に弱い臓器と考えられています。ですので、乾燥と刺激を和らげるためにマスクを着用するのはよい方法です。また肺は皮膚と通ずる臓器であるとも考えられていますので、お風呂に入ったときに皮膚をあまりゴシゴシ洗いすぎてはいけません。ナイロンタオルなどを使っての洗浄は冬はできれば避けたほうがいいでしょう。皮膚の常在菌を落としすぎると肌の乾燥が進みますし、肌の乾燥が進むことは肺の状態も悪くすると考えられています」。

 肺の健康も、結局はバランスがとれたトータルケアによって守られる。そのことに留意したいものである。(赤根千鶴子)

■ペットボトル温灸術
ホットドリンク用の空のペットボトルを用意(※キャップがオレンジ色のものがホット専用)。そして常温の水100mlと沸騰直前の湯200mlを耐熱性の計量カップに入れる。計量カップからペットボトルに注ぎ、フタをしっかりと閉める。

(1)まず「中カン」(肋骨の下端の中心とヘソを結ぶラインの中間)の辺りにペットボトルの底を当てる。熱いと感じたら離して。これを3~4回繰り返す。

(2)「関元」(ヘソと恥骨結合の中間)にペットボトルをずらし、底を当てる。熱いと感じたら離して。これを3~4回繰り返す。

(3)「足三里」(膝のお皿の下、外側にあるくぼみから指4本くらい下の部分)にペットボトルを当てる。熱いと感じたら離して。これを3~4回繰り返す。

(4)「肺兪」(首を前に倒したとき、最も出っ張る部分「大椎」より椎骨三つ分下の左右で、肩甲骨のきわ)にペットボトルを当てる。熱いと感じたら離して。これを3~4回繰り返す。

週刊朝日  2019年1月25日号より抜粋