担「(もういいや、切り上げよう)えー、お引き受け頂けないということで……」

委「引き受けます」

担「え!?……てっきりお断りされるのかと……」

委「先ほどのこちらの疑問には後ほど書面にてお答えください。お待ちしています」

担「(えー、別に断ってくれていいのに……)かしこまりました。ありがとうございます。つきましては『第三者委員会』の第1回会議の日程ですが……」

委「その前に会議の場所は?」

担「弊社会議室で」

委「中立公平じゃないですね。私としては御社のトイレを使用するような一寸の借りも作りたくないので、御社社屋と委員全員の自宅からの平均距離を割り出した中間地点での会議を望みます……どこですか?」

担「……東京湾でした」

委「船上ですね。また日程ですが、こちらも先ほどの理由と同じくヨーイドンで電話して頂きまして……」

 これくらいの超面倒臭い委員だけを集めてもバチは当たらないんじゃないかと思うが、当事者としてはこんな奴は絶対相手にしたくないだろう。だから、まぁ一番いいのは不祥事起こさないことでやんす。

 今年は『第三者委員会』いくつ設置されるかな? 頼むよ、第三者。

週刊朝日  2019年1月18日号

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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