好奇心が旺盛な戸澤さんは、時々「年寄りウォッチング」をしに、東京・巣鴨まで足を運ぶという。あるとき、ソフトクリーム売り場のそばに、リュックを背負って小さくしぼんだオバアサンを見かけた。

「『間違えて2個買ってしまったので、一つ食べてくださいますか』と声をかけ、隣に座り、年齢を聞いて驚きました。75歳と私よりも若いのに『楽しいこと、ないんですよね……』と言うんです」

 薬剤師で日本メンタルヘルス協会認定公認心理カウンセラーの滝村桂子さんは介護などをテーマに講演会を行い、シニアたちのカウンセリングも行う。

「病名をつけてもらえるまで病院を渡り歩き、病名がついた時点で満足しちゃう人もいれば、がんに侵された自分の今の治療法が間違っていないかと相談に来る人もいる。皆、情報に惑わされ、自信を失っています」

 自己肯定感を得ることが大事だという。

「自分の周りに褒めてくれる人を探して1日20個ずつ毎日褒め合うというのを勧めています。相手の良いところを探し、褒め上手になるのがいいのです」

 伸びる人と、しぼむ人の違い。それは、いかに自分に正直になって、好奇心を失わず、毎日を前向きに生きられるか否か、ということではないだろうか。(本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2019年1月18日号より抜粋